加藤豪将と開幕メジャー入りを争う30歳苦労人はソチ五輪の銀メダリストだった!

プロ7年目で初めてメジャー・キャンプに招待されたエディ・アルバレス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ここまでオープン戦10試合出場の加藤豪将】

 今シーズンからマーリンズに移籍し、招待選手として開幕メジャー入りを目指している加藤豪将選手。ここまで(現地時間3月6日時点)でオープン戦に10試合出場し、11打席に立ち、3安打、1打点と打率.273を残している。

 また3安打の他に3四球を選び、出塁率に関しては.429と高い率を残しており、首脳陣に質の高い打席を披露できているようだ。

 ただすでにマイナー・キャンプもスタートし、早くもマイナー降格を通告されている選手も現れている。今後主力選手たちが徐々に出場時間を増やしていく中で、厳しい生存競争を強いられるのは間違いない。

【加藤と同じ立場の30歳のベテラン内野手】

 今シーズンのマーリンズは加藤選手を含め14人のマイナー選手をメジャー・キャンプに招待しているが、その中にユーティリティ内野手として開幕メジャー入りを目指している選手がいる。立場的に加藤選手のライバルといえる存在だ。

 その人物こそ、地元マイアミ出身のエディ・アルバレス選手。これまで6年間のマイナー生活を経て、自身にとって初のメジャー・キャンプの切符を掴んでいる。

 「(初のメジャー・キャンプに)どうしてももっとやらなきゃと少し神経質になってしまうけど、自分が置かれた状況はコントロールできないからね」

 すでに年齢は30歳に達していることもあり、緊張している様子はなさそうだ。マイナー5年間で一塁以外のすべての内野ポジションを守り、走塁も期待できるスイッチヒッターとして、走攻守揃ったオールラウンダーというのが最大の武器だ。

【ソチ五輪でショートトラックの銀メダリストに】

 ここまでの説明だけでは、マイナーリーグで奮闘し続けてきた苦労人のように聞こえるかもしれないが、実はこのアルバレス選手、すでに地元マイアミでは超有名な一流アスリートなのだ。

 それを物語るように、地元紙『Miami Herald』紙が3月6日付けで、彼の特集記事を組んでいる。

 アルバレス選手は2014年にホワイトソックスとマイナー契約を結ぶまで、別の競技でも活躍していた。スピードスケートのショートトラックだ。しかも米国代表としてソチ五輪に出場し、5000メートルで銀メダルを獲得しているのだ。

【スピードスケートと野球の二刀流を続ける】

 米国で最も温暖な地、マイアミで生まれ育ったアルバレス選手がスピードスケートをするきっかけになったのが、5歳の時にクリスマス・プレゼントでもらったローラースケートだった。

 その後ローラースケートで遊びながら、彼のスケーターとしての才能が徐々に開花していき、9歳でアスファルトからアイスリンクに移り本格的にスピードスケートに取り組むようになった。

 その一方で、やはり5歳から野球も始め、ずっとスピードスケートと野球の二刀流を続けていった。野球選手としても高い評価を受け、高校時代には有名大学からスカラシップのオファーを受けるほどだった。

 だが最終的に2010年のバンクーバー五輪出場を目指し、スピードスケートに力を注いでいく決断をする。

 残念ながらバンクーバー五輪での出場は叶わなかったが、4年後のソチ五輪でスピードスケート史上初のキューバ系米国人として米国代表入りを果たし、前述通り銀メダリストに輝いているのだ。

【次なる目標がMLB選手】

 だが五輪出場を目指しながらも、コミュニティカレッジ(米国の2年制大学)で野球を続けるなど、野球への情熱も失っていなかった。

 そしてソチ五輪後に、次なる目標としてMLB挑戦を決断。当初は大学に戻り野球を再開するつもりだったらしいが、ホワイトソックスから誘われ、すぐさまプロの世界に飛び込んだ。

 昨シーズン開幕直前にマーリンズにトレードされ、開幕直後に負傷し長期離脱を余儀なくされた。その後リハビリを経て、3Aに回ると、66試合に出場し、打率.323、12本塁打、43打点の好成績を残し、今年1月にメジャー・キャンプに招待されることが決まった。

 残念ながらオープン戦では9試合に出場し、12打数2安打と打率.167に留まっている。地元紙も開幕メジャー入りは厳しいと予測している状況だ。

 「自分たちはパズルのピースと同じだ。もし自分がうまくアルゴリズムにはまれば、その時こそ自分にチャンスが巡ってくるだろう。野球選手として厳しい状況になるのは理解している。だがプレーし続けるしかない。

 ただ自分はゲームの本質というものを理解しているし、高いレベルでのスポーツを経験してきた。それが自分の野球選手としてのキャリアにも影響していると思う。1日1日を進んでいきたい」

 果たして元五輪メダリストは、野球の世界でも輝くことができるのだろうか。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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