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秋山翔吾がレッズ入り?! 遂に達成なるか日本人選手によるMLB完全制覇

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
1964年に初の日本人MLB選手になった村上雅則投手(写真:築田純/アフロスポーツ)

【米メディアが秋山翔吾選手のレッズ入りを報道】

 MLB公式サイトをはじめとする米主要メディアは現地時間の30日、西武から海外FA権を取得し、MLB挑戦を表明していた秋山翔吾選手が、レッズと契約合意に達したと報じた。

 第一報は、MLBネットワークでも解説を務める『ニューヨーク・ポスト』紙のジョエル・シャーマン記者がツイートを投稿したもののようだ。だがレッズの地元紙など複数メディアによれば、未だ合意に達していないという情報もある。

 また現時点でチームも公式発表しておらず、まだ不確定要素が多いのも事実だ。だが、もし合意が実現すれば、レッズのチーム史上初の日本人選手が誕生することになる。

【遂に実現する?MLB完全制覇】

秋山選手がMLB挑戦を表明して以降、米メディアの間では、獲得に興味を持つ球団としてダイヤモンドバックスやパドレス、カブスなどの名前が挙がっていたが、ここ最近になってレッズの名前が浮上するようになっていた。

 実はこうした報道を目にし、個人的に秋山選手のレッズ入りを心から待ち侘びていた。

 秋山選手がレッズ入りすることで、1964年に村上雅則投手がジャイアンツで日本人初のMLB公式戦初出場を果たして以来足かけ55年で、ようやく日本人選手がMLB全30チームに所属することになり、完全制覇を達成することになるからだ。

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【2015年にイチロー選手のマーリンズ入りで王手】

 村上投手の場合は、南海(元ソフトバンク)から野球留学としてジャイアンツに入り、MLBデビューを飾ることになったという偶発的なものだった。

 しかし1995年に野茂英雄投手がドジャース入りしMLBに本格参戦するようになって以降は、日本人選手のMLB挑戦者が次々に現れるようになり、MLBで日本人選手の存在が当たり前の様になっていった。

 それと同時にMLBもリーグ拡張していき、1998年に現行の30チームになる中、2015年にイチロー選手がマーリンズ入りした時点で、日本人選手が所属していないチームはレッズのみになっていたのだ。

 その時点から、この日がやって来るのをずっと待ち続けていたというわけだ。

【初日本人選手在籍チーム数最多は野茂投手と伊良部投手の3チーム】

 これまでMLB29チームに最初に所属した日本人選手と、その所属初年は別表の通りだ。これまでの日本人選手のMLB挑戦の歴史を大まかながら理解できることができるだろう。

 名誉ある初の日本人選手となったチームが最も多かったのが、野茂投手と伊良部秀輝投手の3チーム。それに続くのが、大家友和投手、マック鈴木投手、井口資仁選手の2チームだ。

 今でも日米の野球文化の違いが指摘される中、過去に日本人選手が在籍したことが無いチームに入るということは、大きな覚悟が必要だ。ここに名前が挙がっている選手たちはそうしたパイオニアとして、それぞれのチームに日本人選手の資質を知らしめる存在になっていったのだ。改めて賞賛を送りたい。

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【野茂投手が指摘していた「日本人対決が当たり前の時代」】

 1995年に野茂投手がドジャース入りしてからMLB取材を続け、その後も日本人選手がMLB挑戦を続ける中で、日本人対決は日本メディアにとって大きな関心事だった。

 日本人対決のたびに集結してくる多くのメディアに対し、野茂投手は「もう少ししたら日本人対決が当たり前になると時代になると思います」と繰り返ししていた。その頃から日本人選手がMLB完全制覇する日が来るとは思っていたが、想像以上に時間がかかった。

 日本人選手のMLB挑戦は基本的にはFAかポスティングシステムしかなく、やはり高額年俸を用意しなければならないため、低予算チームが獲得に乗り出すのは簡単ではなかった。年俸総額がMLBの中で中堅と下位を行き来してきたレッズが最後に残ってしまったのも、ある意味致し方ないところだった。

 今は正式発表を待つしかないが、秋山選手がレッズのユニフォームに袖を通す姿を想像するだけで特別な感情が沸き上がってしまう。

【韓国人選手の在籍チーム数は25、台湾人選手は19】

 ちなみに同じアジア地域から多くのMLB選手を輩出している韓国と台湾を調べてみると、これまで韓国人選手がMLBに在籍していたチームは25に上る。内訳はナ・リーグ全15チームを制覇している一方で、ア・リーグのホワイトソックス、ロイヤルズ、タイガース、アストロズ、アスレチックスでまだ韓国人選手が誕生していない。

 また台湾人選手がこれまでMLBに在籍していたチーム数は19。内訳はナ・リーグが8チーム(メッツ、ナショナルズ、マーリンズ、カブス、ブルワーズ、パイレーツ、ドジャース、ロッキーズ)で、ア・リーグが11チーム(ヤンキース、レイズ、レッドソックス、ブルージェイズ、オリオールズ、インディアンズ、ロイヤルズ、タイガース、アストロズ、アスレチックス、レンジャーズ)となっている。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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