再び単独首位に躍り出た大阪エヴェッサを待ち受ける強豪チームとしての試金石

宿敵京都ハンナリーズに連勝した大阪エヴェッサの面々(筆者撮影)

【シーズン再開で宿敵京都に連勝スタート】

 2週間のバイウィークを経て、先週末からBリーグが再開した。

 西地区で琉球ゴールデンキングスと並び首位に立つ大阪エヴェッサは、近畿圏のライバルチームである京都ハンナリーズと対戦し、81対71、86対80で連勝を飾った。

 10月16日に今シーズン初対決した際は、59対90とハンナリーズに大敗していたが、今回は第1戦で20点差、第2戦で17点差をつける展開に持ち込むなど、内容的にハンナリーズを圧倒し続けた。

 その一方でキングスが川崎ブレイブサンダースに連敗を喫したため、エヴェッサは11月16日以来となる単独首位に躍り出た。まさに最高のかたちでシーズン中盤戦をスタートさせ、10年ぶりにHCに復帰した天日謙作HCも満足そうだった。

 「(ハンナリーズ戦の連勝は)いい経験だったと思います。こういう状況で大事なゲームをとれたというのは、これから成長していく過程のチームなので、いい経験になったと思います」

【PG2人が故障する中チーム全員でカバー】

 特に印象的だったのは、決して万全ではないチーム状況の中での連勝だったということだ。

 天皇杯・皇后杯全日本バスケットボール選手権大会で合田怜選手が左肩を亜脱臼して長期離脱し、さらに同大会で右手を負傷した伊藤達哉選手も左手一本のプレーを余儀なくされ、健康なPGは畠山俊樹選手しかいない状況だった。

 それでもチーム全体で彼らの穴を埋め、第1戦では長谷川智也選手が12得点を挙げる活躍をみせ、第2戦では橋本拓哉選手が21得点を記録するなど、日替わりで殊勲者が登場したのが光った。

 天日HCによれば、ハンナリーズ戦前はチームの士気がやや落ちていたというが、2人のACが今シーズンのプレーを確認するビデオを作成したことで、改めてチームとしてのまとまりを取り戻しながら試合に臨むことができたようだ。

ハンナリーズ戦では外国籍選手の活躍もあり、ペイントエリアを完全に制圧した(筆者撮影)
ハンナリーズ戦では外国籍選手の活躍もあり、ペイントエリアを完全に制圧した(筆者撮影)

【主将のアイラ・ブラウンもチームの進化を実感】

 今シーズンは新たに6選手が加わり、チーム構成は大きく変わった。天日HCが指摘するように、現在のエヴェッサは「成長していく過程のチーム」だ。その上で現在のような成績を残しているということは、チームが正しい方向に進んでいるからに他ならない。

 新加入ながらチームキャプテンに指名されたアイラ・ブラウン選手も、ここまでのチームの進化を実感できているという。

 「現在は特にディフェンス面で共通認識が確立し、しっかりみんなで助け合いながら守れるようになっていると感じている。

 今回の試合に関しても先発PGの合田が離脱し、達哉が負傷する中で、ベンチ選手たちがしっかりその穴を埋め、貢献してくれた。これはチームにとって大きなステップだし、どんなチームとも戦えるという自信にも繋がっていくと思う」

【強豪チームとの対戦を控える12月】

 これまでBリーグ発足以来負け越しを繰り返してきたエヴェッサが、この時期に単独首位の座につくこと自体考えられなかったことだ。それだけに、これまで首位争いやチャンピオンシップ争いをした経験も無いチームにとって、これからの1試合、1試合はすべて重要な意味を持つことになる。

 特に12月は、千葉ジェッツ、サンロッカーズ渋谷、アルバルク東京と、東地区の強豪3チームとの対戦を控えており、ここでどのような戦いを演じられるかが、強豪チームへの試金石になりそうだ。

 ブラウン選手も今月のチャレンジを楽しみにしている1人だ。

 「現時点でチャンピオンシップを争うようなチームになっている必要は無いし、正直に言ってまだ我々はチームとして成長していかねばならない点がまだまだある。試合ごとに生じたミスを修正しながら成長していければいい。ただ現在のような状況で進化していければ、我々は大丈夫だと思う。

 今は首位に立っているが、今月は首位を維持できるか、それとも陥落してしまうのかが決まるような重要な月だ。だがトップチームと対戦することは、自分たちがどんな位置にいるかを確かめるテストであり、さらに成長するチャンスだと思っている」

 12月を戦い終えた時点で、果たしてエヴェッサはどこまで進化できるのか。まずは強豪3チームとの戦いぶりに注目したい。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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