打撃好調を維持しAWBに突入した川崎宗則 現役復帰したシーズンをどう締めくくるのか?

AWB開幕戦の第1打席で安打を放った川崎宗則選手(筆者撮影)

【3ヶ月契約の集大成となるAWBが開幕】

 昨年3月にソフトバンクを退団していた川崎宗則選手が今年7月に、20年ぶりに台湾プロ野球(CPBL)への再加入が決まった味全ドラゴンズ入りすることが発表されてから、約6ヶ月が経過した。

 8月中旬にチームに合流した川崎選手は現在チームの一員として、アジアウィンターベースボールリーグ(AWB)に参戦している。味全はCPBLの再加入が発表された時点で、単独チームでのAWBへの参戦が決まっており、今シーズンを締めくくる大事な公式戦といえる。

 また川崎選手個人にとっても、今回の味全との選手兼任コーチ契約はあくまで3ヶ月間のものであり、今後を占う意味でも復帰シーズンの集大成とっていいだろう。

【AWB開幕戦に「3番・DH」で出場したが…】

 11月23日に行われた韓国プロ野球(KBO)選抜チームとのAWB開幕戦に、川崎選手は「3番・DH」で出場。いきなり第1打席で見せ場をつくった。

 1回1死一塁の場面で、KBO屈指の有望株左腕の金在雄投手から左翼線付近に落とす鋭いライナーを放つと、打球は勢いを落とすことなくフェンスまで到達。一塁走者を三塁まで進めることに成功した。

 だが、ここでアクシデントが起こった。自らも難なく二塁まで進める打球だったが、一塁に向かう途中で突如として走塁のスピードを緩め、そのまま一塁に留まった。ベース上の川崎選手はやや表情を歪めながら、右脚を伸ばす仕草を見せると、状況を確認にきたトレーナーと言葉を交わし、そのまま代走と交代した。

 試合後に確認したところ、走塁中に右脚ハムストリング(太もも裏)に違和感が出たということだった。だが負傷箇所は大事には至らず、翌々日から限定的ながらチーム練習に合流しており、早い時期での戦列復帰が期待されている。

負傷交代した2日後にはチーム練習に合流した川崎宗則選手(筆者撮影)
負傷交代した2日後にはチーム練習に合流した川崎宗則選手(筆者撮影)

【練習試合の長打率は脅威の5割9分4厘】

 たった1打席とはいえ上々の滑り出しを見せた川崎選手だが、AWB開幕までまずまずの調整を続けてきた。

 味全はAWBに参戦するに当たり、CPBLの2軍チームや台湾代表チームなどと精力的に練習試合を戦ってきた。川崎選手もAWB開幕まで練習試合で39打席に立ち、実戦を積み重ねてきた。

 その成績はかなり突出したもので、打率は.406でチーム2位にランクしている。約1年のブランクがあるものの、NPBやMLBの一線で活躍してきた川崎選手だけに、ややレベルの下がる投手を相手にしているのだから、この成績は驚くべきではないのかもしれない。

 だが、これまでの川崎選手とは明らかに違っている側面がある。それは長打力だ。

 本塁打こそ記録していないが、13安打中6本が二塁打で(二塁打数もチーム2位)、長打率も同じくチーム2位の.594を残している。これまでの川崎選手の長打率は、NPB時代が.376で、MLB時代も.289に留まっていることを考えれば、大幅に上昇しているのが理解できるだろう。

 いくら相手投手のレベルが低いからといって、長打を増やすことは別の話だ。つまり川崎選手の打撃に何らかの変化があったということだ。この長打率の上昇こそ、現在の川崎選手の選手像の一端を垣間見せるものなのだ。

【『ザ・ヒューマン』取材班の一員として現地取材を敢行】

 実は川崎選手が味全入りを決めたことで、あるプロジェクトがスタートしている。

 NHK BS-1の『ザ・ヒューマン』では今回の川崎選手の現役復帰に注目し、番組制作を決定。自分も取材班の末席に加えてもらう幸運を得て、現地に赴き川崎選手の取材を行った。

 果たして川崎選手はどのようなかたちで今シーズンを締めくくるのか。興味が尽きないところだ。

 放送は12月28日を予定している。ぜひ現在の川崎選手の姿を確認してほしい。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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