Yahoo!ニュース

AWB参戦を決めたエディソン・バリオスの現役続行への強い思いとアジア愛

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
AWB初登板で4回無失点の好投を演じたエディソン・バリオス投手(筆者撮影)

【味全ドラゴンズに加わった助っ人外国人】

 川崎宗則選手が選手兼任コーチとして加入したことで、日本でも話題となった味全ドラゴンズ。今年5月に20年ぶりに台湾プロ野球(CPBL)への再加入が認められ、この冬は単独チームでアジアウィンターベースボールリーグ(AWB)に参戦している。

 若手中心の味全はAWB開幕前に投手陣の補強を目指し、今年阪神から戦力外通告を受けていた歳内宏明投手をはじめ外国人4投手の獲得を発表した。

 日本社会人(JABA)選抜チームとの対戦となった同リーグ2戦目で、早速4投手の1人が先発投手として起用され、4回を3安打無失点に抑える好投を演じ、チームの勝利に貢献している。

 この投手の台湾表記は「芭里歐茲」。今年DeNAを退団したエディソン・バリオス投手のことだ。

【日本→ウルグアイ→台湾を移動する強行日程】

 バリオス投手はスポーツ紙が報じている通り、シーズン終了後の10月10日に日本を離れている。彼の説明によると、自宅のあるウルグアイ(出身はベネズエラ)に戻り、その後オファーを受けていた味全との正式契約が決まり、再び太平洋を渡り台湾にやって来た。

 自宅でトレーニングを続けてきたとはいえ、実戦登板はDeNAで投げて以来約1ヶ月ぶりのこと。素直に好投を喜んだ。

 「台湾にやって来て初めての登板だったけど、自分の仕事を果たせ、いい投球ができてよかったよ。

 一応(AWBの)シーズンが始まる前にトレーニングしていたけど、最後に(試合で)投げたのは日本で約1ヶ月前だった。まだもう少し試合に慣れていく必要があるし、各球種の精度や制球力を上げていく必要があるけど、今でも投げる準備はできている」

【何とか来シーズンもアジア地域で現役続行を】

 バリオス投手がAWB参戦を決めたのは、同リーグ期間中の助っ人選手で終わることなく、来シーズンに向けた大きな野望があったからだ。

 「(AWB参戦を決めたのは)ここでプレーしたかったからだ。それとともに、来シーズンもアジア地域のどこかでプレーしたいという思いがある。自分としてはどこのチームでもプレーしたいと思っている。

 とにかく来シーズンも野球を続けたい。まだどうなるか分からないけれど、とにかく今は一生懸命投げていきたい」

 2011年に関西独立リーグの神戸サンズ入りして以来、ずっと日本でプレーしてきたバリオス投手。今回の味全入りを機に、日本のみならず台湾、韓国などアジア地域で現役を続けることを目指している。

 そうした意味でAWBは、味全の他にNPB選抜2チーム、JABA選抜チーム、CPBL選抜チーム、韓国プロ野球(KBO)選抜チームが参戦しており、バリオス投手にとって格好のアピールの場といえるのだ。

 味全はバリオス投手をこのまま先発投手として起用していく予定だ。これからもバリオス投手のアピールは続く。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事