長期離脱を経て新たなシーズンに臨む琉球ゴールデンキングスのジョシュ・スコットが学んだこと

約9ヶ月ぶりにBリーグの公式試合に出場したジョシュ・スコット選手(筆者撮影)

【負傷した因縁のアリーナで9ヶ月ぶりの公式試合】

 9月14日から3日間の日程で開催されたBリーグのアーリーカップの関西地区で、ある選手がまだシーズン開幕前とはいえ、久々にリーグの公式試合でユニフォーム姿を披露してくれた。

 琉球ゴールデンキングスの大黒柱の1人、ジョシュ・スコット選手だ。

 2018-19シーズンに島根スサノオマジック入りしBリーグに初参戦すると、昨シーズンは琉球に移籍。不動の5番選手としてフロントコートを支配し、シーズン開幕からチーム躍進の原動力となった。

 しかし昨年12月26日の大阪エヴェッサ戦で右膝蓋腱断裂という大けがを負い、残りシーズンを棒に振ることになった。その負傷した因縁のアリーナで、約9ヶ月ぶりにBリーグの公式試合に復帰したのだ。

【不安よりも楽しみだった試合復帰】

 準決勝のバンビシャス奈良戦では15分6秒の出場で、17得点、6リバウンドで勝利に貢献し、決勝の京都ハンナリーズ戦では16分16秒の出場で、2得点、9リバウンドを記録している。

 実は現在のスコット選手は、まだ完全復帰までには至っていない。今回のアーリーカップでも出場時間が制限される中での出場に留まっており、シーズン開幕に向け状態を上げている途上にあった。

 チームが決勝で京都に敗れたのも、第3クォーターにもう1人の外国籍選手、デモン・ブルックス選手がファウルアウトしてしまう中で、スコット選手をフル活用できなかったことが大いに影響しているのだ。

 チームはアーリーカップ3連覇を逃してしまったが、スコット選手は試合復帰できたことを素直に喜んでいる。

 「不安というよりも嬉しかった。復帰を目指してハードなトレーニングを積んできたからね。これからも試合に出て感覚を確かめながら、ネガティブなイメージを払拭してシーズンに向けて準備を進めていきたい。

 もう(右ヒザは)大丈夫だし、プレーできる準備はできている。シーズンを迎えるのが待ち遠しい。確かに(出場時間が制限され)一歩ずつ前に進んでいる状況だけど、着実に前に進んでいるし、いい感じできている」

【長期離脱中にスコットができたこと】

 昨シーズンは優勝候補の一角と目されていた琉球だったが、スコット選手離脱後はまったく別のチームになってしまった。

 12月26日を迎えるまでの琉球は21勝6敗と、予想通り西地区1位を独走していた。しかしスコット選手が負傷したエヴェッサ戦を44-85で大敗すると、スコット選手が抜けた穴を埋めることができず、それ以降は代表活動のため休止期間に入る2月上旬まで、5勝8敗と負け越してしまった。

 リーグ再開後は外国籍選手を補強するなどしてチームを立て直し、西地区連覇を果たすことができた。しかしチャンピオンシップ準決勝でアルバルク東京に1勝2敗で敗れ去り、悲願のリーグ優勝には手が届かなかった。

 自分が出場できず苦しい戦いが続いたチームを、離脱中のスコット選手はどう見ていたのだろうか。

 「自分にとってはかけがえのない経験になり、多くのことを学ぶことができた。試合から遠ざかり、選手たちを応援し、彼らにアドバイスを与えながら、これまで選手としてしか見えていなかったことを、別の視点から見ることができた。

 お陰でチームのことをより理解できるようになったし、昨シーズン以上にチームの居心地が良くなっている。本当に多くのことを学べた貴重な経験だった」

 離脱中も常にチームに帯同し、選手たちをサポートし続けたスコット選手。そうした経験が選手としての視野を広げるとともに、チームとの距離をさらに縮めることになったようだ。

【今季も負傷を恐れずチームの勝利のために】

 まだ完全復帰とはいえないが、それでもスコット選手は今シーズンも「まったく負傷を心配していない」と、コートに立つ限り全力プレーを続ける覚悟だ。

 そこには、今シーズンこそリーグ優勝を奪取したいという強い思いがあるからだ。

 「正直に言うと、個人的には昨シーズンにリーグ優勝を成し遂げたかった。もちろん今シーズンの目標も土台はそこから変わっていないし、リーグ優勝を目指して西地区を勝ち上がっていくことを目指している。

 新加入の選手たちもナイスガイばかりで、皆練習も、試合もハードな姿勢で臨んでいる。素晴らしい選手が揃っていると思う。自分としても、毎日向上していけるように頑張っていきたい」

 昨シーズンの悔しい思いと、ここまで自分の復帰を陰日向で支えてくれたチーム、ブースターへの感謝の思いを込めて、今シーズン戦っていきたいと話すスコット選手。やはり彼の活躍無くして琉球の台頭はない。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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