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30歳の遅咲きルーキーがMLBデビュー戦で実の弟から初奪三振! 119年ぶりの兄弟対決が実現

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
30歳でMLBデビューを飾ったブライアン・モラン投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【30歳の左下手投げ投手がMLBデビュー】

マーリンズが3日にMLB初昇格させていた、左下手投げのブライアン・モラン投手が5日のパイレーツ戦で念願のMLBデビューを飾った。

2009年にマリナーズからドラフト7巡目指名を受けて以来、ずっとマイナーリーグで下積み生活を過ごしてきた。過去にはトミージョン手術を受け、一時は独立リーグにもまわったことがある苦労人だ。初めてメジャーに合流しメディアから取材を受けると、感極まって涙を見せるなど、ずっと夢見続けたMLB昇格だった。

出番が訪れたのは6―5で迎えた4回、2番手投手としてマウンドに送られた。2死からデッドボールを与え走者を出してしまったが、後続の打者をしっかり仕留め、無安打無失点の上々デビューとなった。

【初奪三振は実の弟から】

モラン投手はこの日の登板で、左打者から初三振を奪うことにも成功。左下手投げ投手として左キラーぶりも遺憾なく発揮している。

実はこの左打者が、モラン投手の4歳下の弟、コリン・モラン選手だったのだ。兄が投げた背中から曲がってくるような変化球に身動きできず、見逃し三振を喫した。この記念すべき兄弟対決を、観客席から家族も見守っていた。

【弟はパイレーツの先発三塁手】

弟のコリン選手は、2013年にマーリンズから全体の6位指名を受けた超有望選手だ。翌2014年にアストロズにトレードされたものの順調に進化を続け、2016年にはMLBデビューを飾っている。

そして2017年オフに今度はパイレーツにトレードされ、2018年はシーズン開幕から先発三塁手に大抜擢。さらに今シーズンは三塁のみならず二塁、一塁、左翼でも起用されるなど、ユーティリティ選手としての才能も開花させている。

左打者ながら今シーズンの対左投手打率が.288を残すなど、決して左投手を苦手にしていたわけではないのだが、兄のデビュー戦で三振を献上してしまった。

【MLBデビュー戦での兄弟対決は1900年以来初】

スポーツ関連の記録を専門に扱う『Elias Sports Bureau』によれば、MLBデビュー戦で兄弟対決が実現したのは、1900年以来初の出来事だという。

そんな歴史的な時間を過ごしたモラン投手はMLB公式サイトに対し、以下のような感想を口にしている。

「彼(弟)がバッターボックスに立った時は自分が考えていた以上に緊張した。カウントを悪くして、そこからフルカウントまで戻したところで、スライダーでいこうと考えた。それで打ち取れると思ったんだ。もちろん失投すれば大きなリスクがあったけど、相手のことまで考えたくなかった。まさにハイリスク、ハイリターンな場面だった」

狙い通りに弟を抑え満足そうに話しているモラン投手。今後もMLBの舞台で兄弟対決が実現することを祈りたい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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