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ここまで防御率は脅威の0.00! 捕手ラッセル・マーティンが成し遂げた102年ぶりの快挙

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズン4度目の登板試合で102年ぶりの快挙を達成したラッセル・マーティン選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【今季4度目の登板を果たしたマーティン】

 27日のドジャース対パドレス戦で、102年ぶりの快挙が達成された。

 8-0とドジャースのリードで迎えた9回裏、4番手として投入された投手は、捕手のラッセル・マーティン選手だった。彼にとって今シーズン4度目の登板となった。

 先頭打者のタイ・フランス選手に二塁打を打たれいきなりピンチを迎えることになったが、後続を空振り三振、二塁ゴロ、一塁ファウルフライに抑え、見事に無失点で切り抜けた。

 チーム広報が発表したところによると、この瞬間マーティン選手は、1917年10月3日のジョージ・ケリー選手以来となる、完封勝ち試合に登板した野手となった。もし1点でも奪われていたら実現しなかった快記録だ。

【ここまで防御率は脅威の0.00!】

 今年でMLB在籍14年目を迎えているマーティン選手は、今シーズンまで登板経験は一度も無かった。ところが9年ぶりに古巣ドジャースに復帰した途端、すでに4試合の登板機会を得ている。

 MLBでは野手が登板するのは決して珍しくない。NPBのように簡単に選手が入れ替えられず、延長戦も決着がつくまで実施されるMLBでは、大差がついた試合になると投手陣に休養を与える目的で、野手を投手として起用するケースが頻繁にある。

 ご記憶の方も多いと思うが、あのイチロー選手も2015年のマーリンズ時代に1試合、1イニングの登板経験を有している。

 マーティン選手も登板した試合は、勝敗がほぼ決した大差ゲームばかりだ。とはいえ、4試合中3試合が勝ちゲームだ。もし野手が投げて大量失点されるようなことになれば、試合の流れが変わってしまうリスクがある中での登板なのだ。

 それでもマーティン選手は4試合すべてで1イニングを任され、すべて無失点に抑えている。しかも安打を許したのも、今回の二塁打が初めてのこと。さらに無四球で、2三振も記録。ここまで防御率0.00、被打率.077──と抜群の成績を残している。

【監督も絶大な信頼を寄せるスーパーサブ】

 これだけの投球をしてくれるマーティン選手に対し、デーブ・ロバーツ監督も絶大な信頼を寄せている。MLB公式サイトで、以下のようなコメントが紹介されている。

 「野手が登板する際はジョークのように見えるかもしれないが、こうした勝ち試合でも彼がどんどんストライクを投げてくれ、カレブ(・ファーグソン投手)が2イニング目を回避することができた。これは明日、そして次の日に大きな価値を持つものだ」

 今シーズンのマーティン選手は投手ばかりではなく、三塁手としても7試合に出場し、失策ゼロ、7つの捕殺を記録している。

 実はプロ入り直後のマーティン選手は内野手だったのだが、2004年から本格的に捕手に転向している。そのためMLB昇格後も三塁、二塁、右翼を任されるなど、元々器用な選手ではあった。今シーズンはその器用さが全面的に発揮され、捕手の枠を超えスーパーサブ的な役割を担っている。

【新生の出現で本業の捕手としての出場は減少気味】

 ただ本業の捕手の方は、出場機会が減りつつある。7月下旬から新生ウィル・スミス選手が台頭し、ここまで33試合で12本塁打を記録するなど、長打が狙える捕手としてMLBに定着。最近はずっと先発マスクを任される存在になっている。

 一方のマーティン選手は、打率.207と打撃が低迷していることからも、残りシーズンはスミス選手の休養日での先発や途中出場を任される控え捕手としての起用になりそうだ。

 それでもマーティン選手がドジャースにとって必要不可欠な戦力であることに変わりはない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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