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“赤鬼”チャーリー・マニエルが6年ぶり現場復帰! フィリーズの打撃コーチ就任へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
6年ぶりに現場復帰することになったチャーリー・マニエル氏(写真:ロイター/アフロ)

【フィリーズがコーチ人事を発表】

 フィリーズは13日、コーチ人事を発表し、ジョン・モーリー打撃コーチを解任するとともに、後任として今シーズンからGM付きシニア・アドバイザーを務めていたチャーリー・マニエル氏の打撃コーチ就任を発表した。

 MLB公式サイトが報じたところでは、マット・クレンタクGMがシーズン開幕からMLB屈指の強力打線と目されていた打撃陣が本来の力を発揮できていないと判断し、その能力を最大限に引き出すためマニエル氏を招聘したようだ。

 マニエル氏は2005年からフィリーズで監督を務め、2013年シーズン途中で解任されるまで、チームを2008年のワールドシリーズ制覇を含め、ナ・リーグ優勝2回、地区優勝5連覇に導くなど、チーム史上最多の780勝を記録している名指揮官だった。

【日本で“赤鬼”として6年間で通算189本塁打を記録】

 マニエル氏といえば、日本ではその名を知るプロ野球ファンが多いはずだ。

 1976年から6年間ヤクルトと近鉄(1976~78ヤクルト、1979~80近鉄、1981ヤクルト)に在籍し通算189本塁打を記録するなど、その風貌から“赤鬼”というニックネームで親しまれた最強助っ人選手の1人だ。

 近鉄時代の2年間は、1979年に37本塁打で本塁打王のタイトルを、翌1980年は48本塁打、129打点で本塁打王、打点王の二冠王にも輝いている。

 また近鉄時代には顔面に死球を受け、顎を骨折するアクシデントに見舞われたが、復帰後から現在では主流になっている顔面を保護するフェイスマスク付きのヘルメットを使用するようになり、当時は話題を集めたりもしている。

【引退後は指導者の道へ】

 1981年シーズン限りで日本球界を去り、帰国したマニエル氏は指導者の道を歩み始めた。

 最初はツインズでスカウトを務めていたが、1983年からツインズ傘下のマイナー組織で5年間監督を務めた後、インディアンズから招聘を受け、いきなりメジャーリーグの打撃コーチに抜擢されている。

 2年間打撃コーチを務めた後、一旦はインディアンズ傘下のマイナー組織に移り3年間監督を務めることになるが、1994年から再びメジャーリーグの打撃コーチに復帰。1999年まで同職を務め、インディアンズをMLB屈指の最強打線チームに押し上げている。

 こうした実績が評価され、2000年からインディアンズの監督を任され、2001年はチームを地区優勝に導いた。だが2002年は負け越し状態が続くと、シーズン途中で解任されている。それでもインディアンズ監督時代の成績は、220勝190敗としっかり勝ち越している。

 そしてインディアンズ解任後に、すぐにフィリーズがGM付き特別アドバイザーとして招聘。その後2004年シーズン終了後に監督に指名されたというわけだ。

 こうした経歴を見ても明らかなように、選手以上に指導者として輝かしい経歴を誇っているのだ。

【フィリーズ打線は覚醒できるか?】

 フィリーズは昨オフに、ブライス・ハーパー選手やアンドリュー・マカチェン選手、JT・リアルミュート選手などを獲得し、シーズン前はMLB屈指の最強打線を作り上げたとの評価を受けていた。

 しかし現在の打線は完全な低迷状態で、チーム打率(.245)MLB23位、本塁打数(150)同23位、得点(557)同19位──に沈んでいる。こうした打線の不振がそのままチーム成績にも反映し、61勝58敗と勝ち越しはしているものの、地区首位のブレーブスに9ゲーム差も離されてしまっている。

 果たしてマニエル氏が強力打線を覚醒させることができるのか。その手腕に注目が集まるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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