Yahoo!ニュース

年間被本塁打数のMLB記録更新も確定的! オリオールズはどれだけの本塁打記録を献上してしまうのか?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンからオリオールズの指揮を執るブランドン・ハイド監督(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ヤンキースが本塁打関連のMLB新記録を樹立】

 昨シーズン267本塁打を記録し、チーム年間本塁打数のMLB記録を塗り替えたヤンキースが、今シーズンも新たな本塁打記録を樹立した。

 7日に行われたオリオールズ戦で14-2と圧勝。この試合でヤンキースは5本塁打を放ち、今シーズンの対オリオールズ戦のチーム本塁打数が52本となり、単独チームからの年間本塁打数で63年ぶりにMLB記録を塗り替えることになった。

 ESPNによると、これまでの記録は、1956年にヤンキースがロイヤルズ相手に記録した48本だった。

 またヤンキースは同じくオリオールズ戦で、ここまで4試合で5本塁打以上を記録し、単独チームから5本塁打以上記録した試合数でもすでにMLB記録を塗り替えており、この日の試合でさらにそれを5試合に伸ばしている。

 ちなみにヤンキース-オリオールズ戦は4試合を残しており、更なる記録上乗せの可能性は十分にありそうだ。

【ヤンキース以外にも本塁打を量産されるオリオールズ】

 これらの記録は裏を返せば、オリオールズの不名誉記録ということになる。実は今シーズンのオリオールズは、ヤンキース戦以外でも記録更新ペースで本塁打を打たれ続けているのだ。

 8月7日時点(7日の試合は含まず)でチーム防御率は5.62とMLBワーストで、今シーズンの投手陣は完全に崩壊状態にある。被本塁打数もすでに229本と、MLBで唯一200本を超えてしまっている。

 ちなみにチーム年間被本塁打数のMLB記録は、2016年にレッズが記録した258本。まだ8月上旬の段階でオリオールズは30本以内に近づいていることからも、記録更新は確定的な状況といっていい。

【米有力紙が5月の段階で記録更新を危惧】

 こうしたオリオールズの惨憺たる状況を、米有力紙の『USA Today』は5月23日の段階でいち早く記事にしていた。

 当時のオリオールズは49試合を消化した時点で、計105本の本塁打を許しており、年間ペースで347本に達するハイペースで本塁打を量産され続けていたのだ。

 現在はややペースが落ちてきているとはいえ、それでも328本を上回っており、レッズの258本と比較しても、かつてないほどの不名誉記録が誕生することになりそうだ。

【チーム内の雰囲気も最悪で立て直しは困難?】

 今シーズンのオリオールズはタイガースに次ぐ最低勝率に甘んじており、投手陣ばかりかチーム全体が低迷を極めている。

 それを物語るように、7日のヤンキース戦のベンチ内で、今シーズンから指揮をとるブランドン・ハイド監督とクリス・デービス選手が激しい言い争いをするシーンがTV中継されてしまった。

 チーム内の雰囲気も最悪な中で、チームを立て直していくのは困難なことだ。果たしてオリオールズはどこまで不名誉記録を最低限に留めることができるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事