オフの31億円補強が徒労に終わったエンゼルスが残りシーズンでできること

19日に40人枠から外す措置をとられたマット・ハービー投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【マット・ハービーがDFAに】

 エンゼルスが19日のマリナーズ戦を前に選手の入れ替えを行い、マット・ハービー選手を40人枠から外す措置、いわゆる「DFA(Designated For Assignment)」を行ったと発表した。

 この結果、同投手はすぐにウェーバーにかけられ、ウェーバー中に手を挙げるチームに移籍するか、もしくはウェーバーがクリアになった後でFAとしてチームを去るか、マイナー契約を結び直しエンゼルスに残留するか、いずれかの道を選択することになる。

 ただしウェーバー中に他チームが手を挙げる場合、残りシーズンの年俸をそのチームが支払わなければならなくなる。ハービー選手の今シーズンの年俸は1100万ドル(約12億円)で、まだ約4億円近い支払いが残っており、今シーズンの成績(12試合登板で、3勝5敗、防御率7.09)を考慮すれば、ウェーバー中に獲得に乗り出すチームは現れそうにないだろう。

【オフの31億円補強はすべて裏目に】

 ハービー投手をいえば、昨オフにエンゼルスが補強した目玉選手の1人だった。マイク・トラウト選手やアルバート・プホルス選手など高額選手が揃い、すでにチームの年俸総額に余裕のないエンゼルスだったが、大谷翔平選手を含め複数投手が昨シーズン(中もしくは後)にトミージョン手術を受け長期離脱が決まっており、投手陣の補強は急務だった。

 そこで限られた予算の中でベテランFA投手の獲得に乗り出した結果、ハービー投手に加え、年俸900万ドル(約10億円)でトレバー・ケイヒル投手、さらに年俸850万ドル(約9億4000万円)でコディ・アレン投手と契約した。

 3投手ともに実績ある投手だけに、チームとしても投手陣の中心になってくれることを期待しての補強だった。

 だが実際は、クローザー候補だったアレン投手は好不調が激しい投球を繰り返し、6月15日にDFAとなり、エンゼルスから解雇された後ツインズとマイナー契約を結んでいる。

 またハービー投手同様に先発ローテーションの柱として期待されたケイヒル投手も、5月終了時点で2勝5敗、防御率6.92に留まり、6月からローテーションを外れ中継ぎ陣に回っている。

 まだケイヒル投手はチームに残っているからいいものの、もしハービー投手もウェーバー後にエンゼルスを離れるようなことになったなら、エンゼルスはアレン投手に加え、ハービー選手の年俸も払い続けることになるのだ。

残念ながらオフの補強策は、完全なる失敗に終わったといわざるを得ない。

【トレード補強で埋まりそうにない投手陣】

 それでもチームは後半戦で5連勝と最高のスタートを切り、一気に勝率5割を上回ることに成功した(しかし現在は3連敗中)。メディアの中には、このままワイルドカード争いに加われる可能性を指摘し、トレード期日となる7月31日までにエンゼルスがどんな動きをするのかに注目している向きがある。

 だがチーム状況を見る限り、エンゼルスの投手陣は1、2人の補強で改善できるような状況ではない。特に先発陣に関しては、ハービー投手とケイヒル投手が計算外だったことに加え、今シーズンはチーム内で最も安定した投球を続けていた1人のタイラー・スカッグス投手が急逝したことが、チームにとって余りに大きな痛手になっている。

 もちろん先発ローテーションの柱になれるような先発投手が補強できれば、多少話は違ってくるだろう。だが前述した通り、現在のエンゼルスにはそんな大物投手を獲得できるような予算がないことを忘れてはならない。

 つまり現在のエンゼルスは、トレード市場で積極的な補強を目指すのは難しく、負傷者の復帰や若手有望選手の台頭に期待しなければならないということだ。

 後半戦も厳しい戦いが続くことに変わりなさそうだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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