なぜファイナルだけ一発勝負なのか? Bリーグに期待したい開催方式の変更

年間チャンピオン2連覇を達成したアルバルク東京(写真提供:B.LEAGUE)

【2年連続同一カードを制したアルバルク東京】

 Bリーグの2018-19シーズンを締めくくる「B.LEAGUE FINAL(以下ファイナル)」は昨シーズンとまったく同じ顔合わせになり、アルバルク東京が千葉ジェッツを71-67で下し、年間チャンピオン2連覇を達成した。

 昨シーズンは85-60とアルバルクが完勝して迎えた今シーズンの頂上決戦。後半開始早々にアルバルクが主導権を握り始め、昨シーズン同様徐々に点差を引き離していった。だが今シーズンの年間最多勝をマークしたジェッツが、そこから意地を見せる。第4クォーターで猛反撃に転じると、残り26.5秒で2点差まで詰め寄るなど終了間際まで息をのむ攻防を繰り広げ、頂上決戦に相応しい好ゲームとなった。

 シーズン中ジェッツに1勝5敗と苦しめられたアルバルクだったが、最も重要なファイナルという舞台で最高の勝利をものにすることができた。改めてアルバルクの2連覇達成を称えたい。

 その一方で、昨シーズンの雪辱を果たすことだけを目標にここまで戦ってきたジェッツ。その悔しさは想像を絶するものだろう。だがシーズンを通してジェッツの強さは本物だった、特にシーズン後半戦の強さは他の追随を許さないものであったし、間違いなくチーム力はリーグトップだったと断言していい。

【なぜファイナルだけ一発勝負なのか?】

 ただ自分の中には、どうしても拭い去れない違和感がある。「クォーターファイナル、セミファイナルまで初戦に敗れてもチャンスがあるのになぜファイナルだけ一発勝負なのか?」と「もし試合が船橋アリーナで開催されていたらジェッツのプレーに変化はなかったのか?」――という2点だ。

 現在のチャンピオンシップ(CS)の開催方式では、クォーターファイナルとセミファイナルはシード上位チームの本拠地で開催され、2戦先勝したチームが勝ち上がることになる。もしファイナルでもこの方式を採用するとすれば、ファイナルは船橋アリーナで開催され、第1戦に敗れたとしても第2戦以降に巻き返すチャンスが残されることになる。

 さらに船橋アリーナは常に熱狂的なブースターが観客席を埋め尽くし、リーグ屈指のホームコート・アドバンテージを創り出していることで有名だ。ある意味でジェッツが真の強さを発揮できるのは、船橋アリーナのコートだといっていいだろう。そうした点を考慮すると、ジェッツの敗北に同情すら感じてしまう。

 断っておくが、決してアルバルクの2連覇に疑義を呈しているのではない。現在のCSの開催方式が、本当に理想的なものなのかについて疑念を感じているのだ。

【ファイナルはチームとブースターが築き上げた集大成】

 今回のファイナルでは、1万2972人のブースターが横浜アリーナの観客席を埋めた。もちろん船橋アリーナではこれだけの人数を収容できないし、むしろ通常以上のジェッツ・ブースターが観戦できたかもしれない。さらに船橋アリーナではファイナルを取材する多くのメディアに対応するのは難しい面もあるだろう。だがそれはあくまで運営面からの観点だ。

 CS進出は、シーズンを通して戦い続けてきたチームとブースターに与えられた最高の“ご褒美”だといっていい。本来はチームとブースターが最大限にCSを満喫できることを真っ先に考慮すべきはずだ。特にファイナルともなれば、まさにチームとブースターにとってシーズンを飾る集大成なのだ。彼らがシーズンを戦ってきた同じ環境の中で試合をするのが理想的なはずだ。

 しかも、もしセミファイナルでアルバルクではなく琉球ゴールデンキングスが勝ち上がっていたとしたら、キングスのブースターは横浜アリーナまで足を運ばなくてはいけなかった。ブースターに相当の負担を強いることになるし、果たしてジェッツと同等数のブースターが集まれたかも疑問が残るところだ。

【ホーム&アウェー方式の3戦先勝5試合制の勧め】

 繰り返すが、ファイナルはチームとブースターにとってシーズンの集大成といえるものだ。ファイナルに進出した両チームを敬意を表する意味でも、むしろクォーターファイナル、セミファイナルよりも試合数を増やし、完全ホーム&アウェー方式の3戦先勝5試合制(フォーマットは2-2-1)にすべきではないだろうか。

 確かに運営上負担が増すことになるし、費用も相当にかかるだろう。だが昨今の日本バスケ界には、かなりの追い風が吹いている。しっかりマーケティングさえできれば、ファイナルを全試合中継してくれる地上波放送局を探し出すことができるだろうし、ファイナルに特化したスポンサー企業を獲得することもできるはずだ。むしろやり方次第では収益を増やせる可能性は十分にある。

【将来的な新アリーナ建設のためにも】

 海の向こうのNBAはプレーオフ真っ最中で、カンファレンス準決勝4カードのうち2カードが第7戦までもつれる熱戦が繰り広げられている(もう1カードも第6戦までもつれている)。どのアリーナも超満員のファンで溢れ、盛り上がっている様子が確認できる。

 もしBリーグでもファイナルが5試合制になり、全試合地上波で生中継され、それぞれのアリーナで超満員のブースターが盛り上がっている様子が全国に流されたとしたら、新アリーナ建設に向け地方行政への大きなアピールになるはずだ。現在のように収容人員の大きなアリーナに頼ってしまっては何の意味もない。

 東京五輪を目前に控える来シーズンは、Bリーグにとって大きなチャレンジの1年になるはずだ。現状を打破する大胆な取り組みに期待したいところだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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