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いまだ打率は.000! MLB不名誉記録を更新したクリス・デービスは復活できるのか?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLB新記録となる47打席連続無安打を達成したクリス・デービス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【開幕8試合計27打数で出塁は4四球のみ】

 2013年に本塁打&打点の二冠王を獲得し、さらに2015年にも本塁打王に輝いたオリオールズのクリス・デービス選手が開幕から不振が続いている。ここまで8試合に出場し、27打数で出塁したのは4四球のみ。いまだ無安打が続き打率は.000のままだ。ここまで3打席しか与えられていないドリュー・ジャクソン選手(4月5日に40人枠から外れる措置をされる)を除けば、チーム内で無安打はデービス選手しかいない。

 8日のアスレチックス戦でも「6番・一塁」で先発出場したものの最初の3打席で凡退し、この結果昨シーズンから通算すると47打数連続無安打となり、2011年にユーヘニオ・ベネス選手が記録していた46打数連続無安打を上回り、MLB記録を更新してしまった。結局この日は5打数無安打に終わり、さらに記録を伸ばしている。

【昨年もシーズン最低打率記録を更新】

 デービス選手といえば、昨年本欄でも報告しているように2018年シーズンも不振を極め、シーズン打率が.168に終わり、こちらもシーズン最低打率のMLB記録を更新していた。

 今シーズンからオリオールズの指揮を執るブランドン・ハイド監督はデービス選手を辛抱強く起用していく方針を示しているが、今シーズンも年俸2300万ドル(約26億円)を得ている選手だけに、このままではメディアやファンから非難を受けそうな状況になりかねない。

【明確に落ち込んでいる打球速度】

 元々デービス選手は長距離打者ではあるが、高打率を残せるタイプではなかった。これまで100試合以上出場したシーズンで、昨年以外に2014年にも打率1割台を記録している。ただそのシーズンでも26本塁打を記録しており、何とか長距離打者としての面目は保っていた。

 しかし昨年は2012年以来初めて20本塁打を下回り、自慢の飛距離にも陰りが見え始めていた。それを象徴するのが打球速度の急激な落ち込みだ。

 MLB公式サイトに掲載されているデービス選手の打撃データを見てみると、2015年の平均打球速度は91.8マイル(MLB12位)だったが、それ以降2016年90.8マイル(同35位)、2017年89.9マイル(同29位)――と緩やかに減退しながらもトップ50を維持していた。しかし2018年は89.0マイルで同108位まで落ち込んでいる。

【無安打も打球速度アップは復調の兆し?】

 だが今シーズンに関しては、無安打が続いているものの平均打球速度は90.0マイルまで回復している。これは復調の兆しと見ていいのだろうか。

 いずれにせよ、デービス選手の今シーズン初安打はいつ生まれるのか気になるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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