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ブライス・ハーパー獲得の布石? ドジャースがトレードで外野陣と年俸総額を大幅整理

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
レッズへトレードされたヤシエル・プイグ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ドジャースとレッズが現地21日、両チーム間で4対3の大型トレードに合意した。

 MLB公式サイトなどによれば、ドジャースはヤシエル・プイグ選手、マット・ケンプ選手、アレックス・ウッド投手、カイル・ファーマー選手に加え現金700万ドルをレッズに譲渡し、レッズはその見返りに、ホーマー・ベイリー投手、ジョシアー・グレー投手、ジーター・ダウンズ選手をドジャースに放出している。

 ドジャースが放出した選手はすべてメジャー選手だが、レッズのグレー投手、ダウンズ選手はメジャー未経験の若手有望選手。その陣容からも理解できる通り、ドジャースにとっては人員整理、年俸総額削減を目的としたトレードだった。

 『MLB TRADE RUMORS』が報じたところでは、来シーズンのケンプ選手は2150万ドルの年俸が保証され、さらに年俸調停の権利を得ているプイグ選手(昨シーズン年俸は1130万ドル)とウッド投手(同900万ドル)も相当の年俸アップが予測されており、この3選手の放出で4000万ドル以上の年俸削減に成功していると見られている。

 さらにドジャースは獲得したベイリー投手も、来シーズンの年俸(2300万ドル)と2020年の契約解除料(500万ドル)を支払った上で近日中に解雇すると予測されている。昨シーズンのベイリー投手は20試合に登板し、1勝14敗、防御率6.09と散々な成績だったのみならず、ドジャースはウッド投手を放出しても先発投手候補にまだ十分な人員を抱えている状態だからだ。

 これによりドジャースは大幅な年俸削減に成功するとともに、余剰気味だった外野陣の整理も実現することができた。ところが彼らの動きはこれだけに終わりそうにないのだ。今回のトレードで米メディアが一斉に色めきだっているのだが、ドジャースが今オフ市場で一番人気のブライス・ハーパー選手を獲得する準備を整えたのではと予測しているからだ。

 確かにドジャースは今回のトレードで、ハーパー選手に3000万ドル前後の年俸を用意できるようになったほか、右翼に実績ある選手がいなくなった。何の障害もなくハーパー選手を迎え入れる状態になったのは間違いないだろう。

 ただドジャースは現時点でも実績はともかく人員的に外野陣が不足しているわけではないし、アンドリュー・フリードマン編成担当社長が編成の責任者になってからは、長期大型契約に否定的な姿勢を貫いている。ハーパー選手獲得に積極的だといわれているフィリーズやホワイトソックスらに対抗できるような大型契約を提示するのかも疑問が残るところだ。

 すでにドジャースは、ウィンターミーティング中にハーパー選手と直接交渉も行っている。果たして彼らの本気度はどの程度なのか。しばらくはドジャースから目が離せそうにない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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