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三河新加入のミークスが早くもBリーグを席巻中! 全米王座にも輝いた名門大学出身選手の計り知れない底力

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
シーホー三河に加入したケネディ・ミークス選手(筆者撮影)

 シーホース三河が先月22日に緊急補強したケネディ・ミークス選手が、早くも印象的な活躍を続けている。

 正式契約直後の24日の三遠ネオフェニックス戦でBリーグ・デビューを飾ると、ここまで6試合に出場し1試合当たりの平均スタッツは20.0得点、13.5リバウンド、6.3リバウンド、1.5スティール──とオールラウンドの活躍をみせている。特にダブル・オーバータイムまで及んだ今月15日の京都ハンナリーズ戦では35得点、20リバンウド、10アシストのトリプルダブルを達成している(しかも通常の40分終了時点でトリプルダブルに到達している)。

 まだプロ2年目の23歳。NBA公式戦の出場経験こそないものの、その経歴は超一流といっていい。ノースカロライナ州シャーロット出身で、高校卒業後はマイケル・ジョーダン氏らを輩出した名門ノースカロライナ大に進学。1年から先発出場を果たすなど常に主力選手として活躍し、3年時には全米大学王座にも輝いている。

 本人はNBAからドラフト指名を受けることはなかったが、大学4年間で計7人のチームメイトがNBA入りしており、そうした選手たちと対等に渡り歩いてきたからこそ、常に先発で起用され続けた。卒業後の昨シーズンはラプターズの一員としてサマーリーグに参戦し、その後NBA傘下Gリーグの『ラプターズ905ミシソウガ』に在籍。45試合(うち38試合先発)に出場し、平均スタッツ12.8得点、9.6リバウンド、1.6アシストを記録するとともに、プレーオフではチームのカンファレンス王者に貢献している。そして今年もシーズン開幕前はナゲッツの一員としてサマーリーグに参戦していた。

 チーム合流後早くも素晴らしいプレーを披露するミークス選手について、鈴木貴美一HCはどう感じているのだろうか。

 「まだチームのシステムとか完璧にできていない状況なんですけど、よく頑張っていると思います。リーダーシップもありますし、ディフェンスもできてスコアもとれてリバウンド能力もあるし、日が浅いのに本当に頑張っていると思います。

 チームもいろろメンバーが変わった中で変化していかなきゃいけないというところで、やっぱり外国人も変化していかないとチームが変わっていかないです。そういった意味では今までにないタイプの選手を獲得できたので、早く周りがアジャストして、彼もゲームをこなして日本のバスケット、チームのバスケットに慣れてくれば、すごい面白い選手だし頼りになる選手だと思います。

 たぶんNBAにいける運動能力はないと思いますが、ただバスケットのスキルだとかIQだったりに関しては非常に高い選手だと思います。大学1年時からノースカロライナでスタート(先発)の選手で、滅多にそういう選手はいませんし、3年、4年から育ってくるような選手もいますけど、確実に1年から4年までスタートした選手で、ステーブル(安定感)いうか基本に忠実な選手だと思います」

 それでは来日間のないミークス選手自身はここまでのプレーやBリーグの実力についてどう感じているのだろうか。

 ──まだ来日後わずかしか経過していないが、どれくらいでチームに馴染めそうか

 「チームに合流してからみんなが気を遣ってくれて常に声をかけてくれ、コート外でも食事に誘ったりしてくれる。そうして交流を続けていけばいい関係がつくられていくし、チームメイトのプレーも理解できるようになる。今はコート上で選手たちの特長を掴むよう努力している」

 ──海外リーグ初体験でコミュニケーションの面で問題はないのか

 「ゆっくり話してくれたり、ジェスチャーで指示してくれたりするから、大体は理解できていると思う。それに自分は19年間バスケットをプレーしてきた経験があるし、素晴らしいコーチや選手たちに囲まれ最高の環境でできている」

 ──今シーズンもGリーグに所属していたのになぜBリーグに来たのか

 「いやどこにも所属していない。Gリーグに所属することもできたのだが、自分の意思で取り止めた。ここに来るまでは自宅でトレーニングを続けていた。自分のシーズンはここからスタートしたんだ。

 多少経済上の理由もあったんだけど、もっと人間として成長したくてBリーグ挑戦を決めた。海外のバスケットの違いを肌で感じながら、十分な出場時間をもらえる中で選手としての自分の資質を確かたかった。とにかく今は毎日選手として成長することを目指している」

 ──大学時代は素晴らしいキャリアを有しいるが、Bリーグの実力をどう見ているのか

 「最初の頃は情報もなくていろいろ調べてみた結果、実力ある選手たちがリーグに所属していることを知った。NBA経験者も多数いるし、まだNBAでプレーできる実力がありながらBリーグに残る決断を下した選手もいるのが分かった。実際にプレーしてもすごく競争力が高いと思ったし、この文化、環境でプレーできるのは人間として理想的だと思う」

 ──Bリーグでプレ-しながらでも選手として成長できると感じているのか

 「そう思っている。ここでプレーしながら自信を得ることができる。今NBAに入れたとしても練習に参加できるだけで、ほとんどベンチに座っているだけでほとんど試合にも出られない。でもここでは十分な出場時間を与えられ、チームを引っ張り、助けることができる。何も失うものはない。

 またこのチームは素晴らしく、自分が米国で経験したようにいつも真剣に練習しているし、チームが一丸となって勝利に向かう姿勢を感じる」

 ──すでにコート上ではリーダーシップを発揮しているように見える

 「自分はバスケットを始めた頃から常にチームリーダーの役目を任されてきたし、しっかり全うしてきた。このチームで新旧とかは関係なく、自分はどのチームでプレーしていてもとにかく勝つことことを目的に頑張ってきたし、常に勝者でありたいと思っている。このチームでもそれを続けていきたい」

 NBA経験者が参戦してくれることは人気面においてもBリーグにとって重要なことだ。だがその一方で、ミークス選手のようなNBAに手が届きそうな若手有望選手が武者修業の場としてBリーグに参戦してくれるのも間違いなくリーグを活性化させてくれるはずだ。

 ミークス選手がBリーグで成長を遂げNBAと契約できるような選手になれば、さらに若手有望選手たちがBリーグを目指すようになるだろう。彼の今後の活躍に注目したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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