最終目標はプロ選手に勝つこと! 大阪エヴェッサと交流を続ける白血病少年が抱くバスケ選手としての向上心
大阪エヴェッサと交流を続ける白血病のため長期的な治療を続けている中学1年の少年が、チーム練習に初参加した。
少年の名は森川遙翔(もりかわ・はると)くん。彼がどのような経緯で大阪エヴェッサに“入団”し、現在どのような活動を続けているかについては、すでに本欄で報告しているので詳細は省くが、これまで学校の関係で、森川くんの活動は試合のサポートに限られていたのだが、今回ようやくチーム練習に参加することができた。
練習中はチームスタッフとともに選手のサポートを行い、ドリンクの用意やコートのモップがけなどに従事した。すでに試合サポートを4回行っていたこともあり、チームとの距離感はかなり縮まっており、完全にチームの一員として受け入れられている様子だった。さらにチーム練習後は大村将基スキルディベロップメントコーチの指導の下、個別シュート練習も実施。充実した時間を過ごした。
実はエヴェッサの一員になった森川くんが楽しみにしていた1つが、チーム練習に参加することだった。「普通(ファンは)試合しか見られないんだけど、練習が見られるっていうことは、みんなどのくらい気合いを入れて練習しているのかも見られるからすごく貴重な経験だと思います」と話すように、バスケ選手として大いに参考にしたかったからだ。実際プロ選手の練習を目の当たりにして、大いに刺激になったようだ。
「僕が見ていた場では、みんなで『こうした方がいいんちゃう?』みないなアドバイスの声とか話し合っていたりとかしたんで、そういうところは僕ら学生とは違うなと感じたりしました。
練習とか見ていてもプロだからこんな感じでやっているというのが出てたりだとか、楽しそうに真面目にやっている感じがあっていいなと思いました。小学生との時や中学生は楽しいけど真面目にやっていないか、真面目にやっているけど楽しくないかのどっちかしかなかったので、どっちもできてるのがすごいなと…」
単に練習のサポートをしているだけでなく、森川くんはプロ選手の練習に臨む姿勢を実感できたようだ。もちろん大村コーチから受けられる技術指導も、今後の森川くんのバスケ人生にとって大きな財産になっている。
「プロに教えている人に教えてもらえるというのはそうそうないことなので、楽しかったり嬉しかったりの気持ちがかなり出ています。
元々僕は遠距離のシュートをしないポジションにいたり、自分にとっては(遠距離シュートが)苦手だったのであまりしなかったんですけど、やっぱりフリースローとか入れなあかんなと思っていた時に入らないことが多かったんで、そういうところが改善できたらなと思ってて…。
最近までは両手で(シュートを)打っていたのを片手に変えて、周りが片手でやってたりだとか、男子がみんな片手でやっているので、片手の方がいいのかなと思って…。ただまだ慣れないから(リングに)届かなかったりだとかしてたんですけど、ボールのサイズも大きくなってゴールの高さも高くなったんで、たくさん練習しないとダメだなと思っていたところで、こういう感じでやらしてもらえるのはかなり嬉しいです」
動画を見てもらえばわかるように、両手打ちから片手打ちにかえたばかりの森川くんだが、すでにフリースローの位置からしっかり決められるようになっている。大村コーチからは彼の目の前で10本連続フリースローを決めるという課題も出されており、最終的にはエヴェッサ選手とフリースロー対決をする予定になっている。
「負けるのがすんごい嫌いなので(笑)勝ちたいとは思っているし、教えらてもらって中学校でも上手くなっているので選抜とかに選ばれたらやりたいと思ってます。ちょっと中学生になってから病気しちゃってちょっと遅れが出ちゃったんですけど、こういうので取り戻したりもできるかなと思ってやってます」
森川くんとエヴェッサの交流は来年3月まで続く。病気のことは関係なしに、彼がバスケ選手として短期間でどこまで成長できるのか、かなり楽しみなところだ。