Yahoo!ニュース

究極のファンサービス! 敵チームスタッフにもかかわらずレブロン・ジェームスがみせた心配り

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
グリズリーズ戦に出場するレブロン・ジェームス選手(左)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地8日にメンフィスで行われたグリズリーズ対レイカーズ戦で、試合終盤にレブロン・ジェームス選手がとった行動がSNS等で拡散され、話題を集めている。

 まずはESPNが投稿した動画付きツイートを見てほしい。

 この試合はレイカーズが終始大量リードを奪う展開となり(試合は111対88でレイカーズが勝利)、20得点、8リバウンド、9アシストの活躍でチームを牽引したジェームス選手は第4クォーター残り4分25秒でベンチに下がることになった。動画はその後に起こった出来事を録画したものだ。

 ジェームス選手は試合で使用していたシューズを脱ぐと、それをグリズリーズで働くスタッフにプレゼントしたものだ。突然のプレゼントに感極まったスタッフは涙を流しているのが確認できるだろう。また彼女の姿を目撃したレイカーズの選手やベンチ周辺のファンも温かい拍手を送っている。

 このスタッフは「ボールボーイ(もしくはガール)」と呼ばれ、試合中、試合前後の選手、コーチの身の回りのケアをする役割を担っている。試合後のジェームス選手の説明によれば、どうやら彼女はずっとグリズリーズではなく相手チームを担当してきたようだ。

 「彼女はここで働くボールガールだ。毎年遠征に来る度に、彼女がいつも自分モデルのシューズを履いているのを気づいていた。これまで一度も声をかけたことがなかったんだけど、今日初めて声をかけたら彼女は『私はいつもチーム・レブロンです』と答えてくれた。だから彼女にシューズをプレゼントすることにしたんだ」

 グリズリーズで働いているスタッフとはいえ、彼女は大のジェームス選手ファンだった。それを確認したジェームス選手が彼女の思いに報いるように、試合で使用したシューズをプレゼントしたというわけだ。試合中だったことで多くの人が目撃することになった究極のファンサービスといえるだろう。

 ジェームス選手に限らずスター選手たちの使用済みシューズはファンにとって垂涎もののレアグッズだ。米国では使用済みシューズがチャリティオークション等で取り引きされるケースがあるが、当然のようにとんでもない高値がつく。ボールガールが簡単に手に入れるようなものではなく、当然のごとく彼女にとって一生の宝物になったはずだ。

 繰り返すが米国ではNBAに限らず、各種スポーツのスター選手たちの使用済みシューズがいろいろなかたちで世に出回っている。そうしたレアグッズを手に入れることもファンを惹きつける魅力の1つになっている。選手のみならずリーグ、チーム、契約メーカーの協力体制が確立しているからこうしたサービスが可能になっている。

 ぜひ日本でもBリーグで導入して欲しいファンサービスだ。選手たちが使用済みシューズをプレゼントできるような環境が整えば、NPBやJリーグと差別化するファンサービスになるのではないだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事