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MLB昇格へ一歩前進! ダイヤモンドバックス所属の日系ブラジル人投手が初の40人枠入り

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
中後悠平投手と仲良く記念撮影に応じるボー・タカハシ投手(左・筆者撮影)

 MLBは現地20日、来シーズンのリザーブリスト(いわゆる40人枠)の設定期限日を迎え、各チームが40人枠を発表する中、ダイヤモンドバックスは日系ブラジル人のボー・タカハシ投手を初めて40人枠に加えた。

 タカハシ投手は、ブラジル生まれの21歳右腕投手。2014年にダイヤモンドバックスと契約し、ルーキーリーグから出発した。ここまで主に先発投手として活躍し、プロ5年目の2018年シーズンはシーズン途中で2Aに初昇格を果たし、14試合に登板し3勝3敗、防御率4.68を記録している。

 さらにオフに入るとチームから指名され、近い将来MLB昇格が期待される3A、2Aの有望選手たちだけが参加するアリゾナ秋季リーグに参戦。8試合(うち先発2試合)に登板し、1勝2敗、防御率6.94を記録している。

 今回の40人枠入りでタカハシ投手はダイヤモンドバックスとメジャー契約を結んでおり、それと同時に自動的に来年のメジャーキャンプに参加する資格を得ている。これまで同投手は招待選手としてでさえメジャーキャンプに参加した経験がないので、まさに大抜擢といえよう。現時点でブラジル人MLB選手は5人誕生しているのだが、もしタカハシ投手がMLB昇格を果たすと、日系ブラジル人として初のMLB選手誕生となる。かなり気が早い話であることは重々承知しているが、期待したいところだ。

 実は個人的に2年前から、タカハシ投手の存在を知っていた。2016年に中後悠平投手がダイヤモンドバックスとマイナー契約を結び、ビザ取得の遅れでシーズン開幕後に始まる拡張キャンプに参加することになり、その現地取材に回った際にタカハシ投手に遭遇している。ユニフォームの「TAKAHASHI」という名前を発見し、チーム関係者に確認し日系ブラジル人選手だというのを知った。

 本欄で使用している画像は2017年に撮影したものだ。中後投手がメジャーキャンプから外れマイナーキャンプに移動した後、中後投手と仲良くトレーニングしていたのがタカハシ投手だった。この時に中後投手を介し彼と挨拶を交わしているのだが、ポルトガル語、英語、日本語を操るトリリンガルだそうだ。

 今もストーブリーグ真っ只中であり、今回設定された40人枠は確定したものではない。今後FA選手の契約やトレードなどで多少の変更はつきものだ。だがタカハシ投手は来月実施される「ルール5ドラフト」(他チームの40人枠に入っていない若手有望選手を獲得できる制度)対象選手で、今回の40人枠入りは他チームからのドラフト指名を回避するための措置ともいえる。それだけダイヤモンドバックスはタカハシ投手を重要視しているということなのだ。

 ちなみにタカハシ投手と同様の扱いで、マーリンズはハワイ出身の日系米国人のジョーダン・ヤマモト投手を40人枠に入れている。もちろん彼らは日本人ではないのだが、「タカハシ」や「ヤマモト」という名を聞いてしまうと自然と親近感が沸いてきてしまうのは自分だけではないだろう。

 近い将来彼らがMLBのマウンドで競演する日が訪れるのを待ち侘びたい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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