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10本塁打以上が12人! ヤンキース強力打線がMLB新記録を樹立

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
チーム12人目の10本塁打を達成したルーク・ボイト選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シーズン開幕前から注目されていたヤンキース強力打線はやはり本物だった。現地20日のレッドソックス戦で、MLBに新たな伝説を作り出すことに成功した。

 同試合の2回に、7月29日にカージナルスからトレードされたルーク・ボイト選手が移籍後10号本塁打を放ち、チームの10本塁打以上達成者が12人に到達。MLB新記録を樹立したのだ。これまでは2004年のタイガース、2015年のアストロズ、2016年のツインズ、2017年のアストロズが記録していた11人だった。

 それにしても驚いたのが、ヤンキース移籍後のボイト選手の本塁打量産ペースだ。それまでカージナルスでは70試合に出場し、計137打席で5本塁打しか打っていなかったのに、移籍後30試合目、106打席目で10本塁打に到達してしまったのだ。明らかにボイト選手の予想を超えるハイペースのお陰でMLB記録を塗り替えることになった。同じく移籍組のアンドリュー・マカチェン選手もここまで4本塁打を放っており、わずかながらも13人目達成の可能性も残されている。

 すでに本欄でも開幕直後に、今シーズンのヤンキース打線に様々な本塁打記録更新に期待がかかると報告していたが、残念ながら不調や故障もあり、ジャンカルロ・スタントン選手とアーロン・ジャッジ選手による“50本塁打コンビ”の誕生とはいかなかったが、まさか12人もの選手が10本塁打以上を記録するとは予想外の記録達成となった感がある。

 ちなみにボイト選手の記念すべき本塁打はチームにとって今シーズン246本目の本塁打で、1997年にマリナーズが樹立したチームの年間本塁打記録264本にあと18本に迫っている。21日以降のヤンキースの残り試合は9試合あり、記録更新の可能性は十二分にあるのだ。

 ただちょっと不安なデータもある。19日までのヤンキース打線は、本拠地のヤンキー・スタジアムで打率.263、138本塁打に対し、敵地では同.234、107本塁打と、明らかに本拠地で打ちまくっているのが分かる。残り9試合のうち本拠地はわずか3試合のみ。これがどこまで影響することになるのだろうか。

 いずれにせよ公式戦最終戦までヤンキース打線から目が離せそうにない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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