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京都・浜口炎HCシーズン回顧(後編)「(来シーズンは)高い位置からスタートできると思います」

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
来シーズンは今シーズン以上の手応えを感じている浜口炎HC(筆者撮影)

 全12選手中7人を入れ替えて臨んだ2017-18シーズンながら開幕から順調に白星を積み重ね、チーム初のチャンピオンシップ進出を成し遂げた京都ハンナリーズ。ある程度チームの土台を築けたと話す浜口炎HCは来シーズンをどのように見据えているのだろうか。以下シーズン回顧後編をお届けする。

──今シーズンはコーチとしても理想的なシーズンだったと思う。長年のコーチ経験の中でもなかなかないのでは?

 「ないですね。僕もこれでヘッドコーチとして13シーズンやってますけど、もう1シーズン思い浮かぶのは京都でbjリーグの時にレギュラーシーズンで1位で最高勝率をとったシーズン(2014-15シーズン)があったんですけど、それと同じくらい良かったなと思います。その時も最高勝率で西で1位だったのにホーム開催のプレーオフで滋賀に1勝1敗になって5分ゲームで負けてしまいましたけど(笑)。でもそのシーズンと今シーズンはうまくいったと感じるシーズンですね。本当に少ないです」

──今シーズンは大幅な選手入れ替えがあったが、来シーズンはどのような戦力になりそうなのか?

 「とりあえずは日本人選手に関しては2年契約の選手が多いこともあり、今シーズンのような大幅な入れ替えはないと思います。コアになる選手を含めほとんどの選手が戻ってこられるように調整しているところです」

──今シーズンと同様の戦力が揃うと仮定して、今シーズンに置き忘れた部分という意味で来シーズンをどう捉えているのか?

 「そうですね。コアになる日本人選手に関しては戻ってくる予定なので、何とかもうワンステップアップして安定した力を出したいと思っています。1つは外国籍選手がどうなるかというのがもちろん大きいと思います。ただ自分たちがやること、ベースの部分は一緒で、チームとしてしっかり方向性を示せるような同じようなバスケットをしていきたいと思っています。

 ただ今シーズンはディフェンスが思ったよりは…。どちらかと言うとオフェンス能力の高いバスケットになってしまった部分があるので、もう1回ディフェンスをしっかり頑張れるようなチームにしていきたいなとは思っています」

──外国籍選手が入れ替わった場合でもそれを受け入れる素地はできているように思うがその辺りは対応できそうか?

 「そうですね、そう感じていますね。今残っている選手はすごく賢い選手で、セルフィッシュ(わがまま)ではなく自己犠牲できる選手たちが多いので、もし外国籍選手が新しくなったとしてもいろいろなことを伝えていけると思いますし、チームバスケットができる選手をきちんとリクルートできれば安定した力が出せるんじゃないかなと期待しています」

──コーチが指摘してくれたように、低予算のチームで毎年同じ力を維持するのはなかなか難しい。その中で来シーズンも高いレベルのチームをつくる上でコーチとして大切なもの、重要なものとは何か?

 「やはりコーチとして信念を持ってやるということを大切にしていて、これだけいろんなチームが出てきて、いろんなスタイルのバスケットがあったり、(自分のチームも)いい時ばかりではないので負けてる時もあるし、いろんなものに手を出したくなる時もたくさんあるんですけど、でも練習してきたものというのと自分たちがここまでやってきた部分というものを信じて、もちろん柔軟性はなきゃダメだと思うんですけど、そこは信念を持って着実に進むというのは大切じゃないかなと思います。なので来シーズン以降も信念を持って今いる選手たちのベースを大切にしながらステップアップできればと思っています」

──今シーズンは大幅に選手も入れ替わり“ゼロ”からのスタートだったと思うが、来シーズンは“1”からのスタートという感覚なのか?

 「そうですね。高い位置からスタートできると思います。“ゼロ”からではなく“1”というよりもそれ以上かもしれないですね。もう少し高い位置からいろんなことを共有しながらスタートできるんじゃないかなと思っています」

──コーチとしても今まで以上に高い目標を設定して来シーズンに臨むことができるのか?

 「そうですね。今シーズンのイメージを超える、今シーズンのようなところまで到達できるようなことを考えながら準備をしていこうかなと思っています」

──ちなみにトップチームとの差を今でも感じているか?

 「差はあると思います。決勝でやった東京さん、千葉さん、それと三河さん、川崎さんという企業チームっていうのかな。点数こそ詰まることはありますけど、たった1点、2点差の試合はできるとしても、実際差はまだまだあります。もちろん昨シーズンよりは今シーズンの方が大分近づいてますけど、これが完全に近づいて追いつけるところまで来ているかといえば、そこまで来ていないと思いますし、来シーズンはもう少し近づけるようにしたいなと思っています」

──ただ今シーズンはそうしたトップチームからも勝利を挙げるところまで来ているが?

「そうですね…。でも完全に手応えを掴むにはもう少しレベルアップしていかないととは思います。ただ今やっていることは間違ってはいないとは思います。これまでやって来たことにいいタレント陣が加わって今シーズンはグッと近づいているイメージはあるので、このメンバーでもう1シーズン、2シーズンみんなでレベルアップしていければ、しっかり戦えるチームになっていけるんじゃないかと思います」

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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