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ア・リーグ強打者が次々に辞退示唆!大谷翔平にさらに期待が集まりそうなHR競争

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
すでに打撃練習での飛距離が注目を集めている大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 すでに日本でも報じられているように、いよいよ6月1日からMLBでオールスターゲームのファン投票が開始されることになる。大谷翔平選手もDH部門で投票対象選手に入っており、2010年のイチロー選手以来のファン投票選出の期待がかかる。

 そんな中ア・リーグの強打者たちからここ数日、オールスターゲームの花形イベントであるホームラン競争への出場辞退を示唆する発言が続いているのだ。スポーツ専門サイト『The Score』のブライアン・マクウィリアム記者が報じたところでは、現在両リーグ1位の本塁打数を記録しているレッドソックスのムーキー・ベッツ選手を含め計4人の強打者たちが出場辞退の意思を明らかにしている。

 まず最初に辞退を表明したのは、昨年のホームラン競争を制したヤンキースのアーロン・ジャッジ選手だ。ESPNの取材に対し、「その(出場する)必要はない」と明確に出場を否定している。今シーズンもここまで13本塁打を放ちリーグ7位につけているが、それ以上にディフェンディング・チャンピオンの辞退はかなりの痛手だ。

 ジャッジ選手に続いたのが、ベッツ選手と同僚のJD・マルティネス選手の2人だ。ベッツ選手は地元紙の取材に対し、「まったく興味がない。打撃練習でホームランを打つ気はない」と全くの無関心。一方、ここまでリーグ2位タイの15本塁打を記録しているマルティネス選手は、2015年にホームラン競争の有力候補だったにもかかわらず選ばれなかった過去があり、「MLBは自分を必要としなかった。自分は出てもいいと思っていたんだけど、若い選手を選んだ。その時から『ならいいよ。もう絶対に出場しない』って感じだ」と根に持っている様子だ。

 さらに大谷選手の同僚のマイク・トラウト選手も「あまり考えたことはないが、たぶん(出場は)ないだろう」と出場に否定的な考えを明らかにしており、ア・リーグの有名強打者たちがホームラン競争に関心を示さない事態に陥っている。

 現時点でア・リーグで10本塁打以上放っている打者は21人おり、彼ら以外にも強打者はたくさんいる。だが全米に放送されるイベントだけに、少しでも米国民が注目するスター選手や候補選手を揃えたいという思惑がMLBにある。そう考えるとあまりに衝撃的なデビューを飾った大谷選手に寄せられる期待は決して小さくはないし、MLBから出場オファーがあってもおかしくないところだ。

 すでに米国民からも二刀流として認知されただけでなく、打撃練習がMLB公式サイトやYouTubeで動画配信されるほど大谷選手の飛距離が関心を集め始めている。西海岸を拠点とするエンゼルスに所属しているため、時差もあり大都市が集める東海岸地域の人たちが大谷選手の生のプレーを観られる機会は限られてしまう。ホームラン競争で本塁打を量産する姿を全米中に披露することができれば、彼の人気はさらに高まることになるだろう。昨年のジャッジ選手もホームラン競争を制したことで、さらに全米中から注目を集める存在になっている。

 マイク・ソーシア監督も大谷選手のホームラン競争出場には前向きな発言をしており、とりあえず周囲が納得してくれるだけの本塁打数が必要になってくると思うが、あとは本人次第ではないだろうか。ホームラン競争も滅多に出場できるチャンスがあるわけではない。大谷選手が憧れ続けたMLBの中でも数少ない檜舞台の一つだ。オファーが届いた際は迷わず快諾し、思う存分にイベントを満喫してほしい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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