2018年新外国人選手のMLB実績度ナンバーワンは誰だ?

韓国のみならずMLBでもまずまずの実績を残していた阪神のウィリン・ロサリオ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月1日に各チームともに無事にキャンプインを迎え、いよいよ2018年シーズンが始動した。

 今も連日各チームのキャンプ情報がメディアを賑わせているが、やはりファンにとって大きな関心事の1つが今年から新たに加わった外国人選手の動向だろう。彼らの出来がチームの成績に大きく影響を及ぼすことになるからだ。

 そこで今回はここ数年MLBで選手を評価する指標として多用され始めている「WAR」を使って、新外国人選手たちのMLBでの実績度を比較検討してみたい。

 この指標は本欄でも度々紹介しているが、正式名称は「Wins Above Replacement」というもので、投手、野手の区別なく同じ土俵の中でチームへの貢献度を比較できるものだ。基準は「0」でそれより高ければメジャー選手として少なからずチームの勝利に貢献していることを意味し、逆にマイナスならば代替選手の方が活躍できる(つまりメジャーの出場枠に留まる実力ではない)ことを表している。

 今回は米国最大の野球専門データ集積サイト『Baseball Reference』で紹介されている通算WAR(MLBで活躍したすべてのシーズンのWARを合算したもの)を使用している。よってMLB公式戦に出場していない選手はすべて対象外とした。

 対象となったソフトバンクを除く11チーム、計22選手の通算WARをチェックしたところ、プラス値だったのは7選手しかいなかった。もちろんプラス値を持続していればそれだけMLBに残留できる確率が高くなるわけで、通算WARがマイナス値だからこそ日本にやってきたということだ。逆にプラス値を記録しながらNPB入りしている選手の方が貴重な存在だといえるだろう。

 以下、プラス値だった7選手を紹介していこう。

1.ディロン・ジー投手(5.5)

 今年の新外国人選手の中でダントツにWARが高かったのが、中日入りしたジー投手だ。MLB在籍シーズンは8年を数え、2015年シーズンにマイナス値を記録している以外、ずっとプラス値をキープしている。昨年はツインズとレンジャーズに在籍しメジャーに定着できなかったが、それでもWARに関してはプラス値を記録しており、投球そのものが極端に落ち込んでいるわけではなさそうだ。その実績は“メジャー級”選手と呼ぶに相応しいものだ。

 中日では先発として期待しているようだが、MLBでは2016年シーズンからは主に中継ぎとしての起用が多くなっている。しかしマイナーでは先発もこなしており、その点については問題なさそうだ。

2.ウィリン・ロサリオ選手(2.7)

 阪神入りするに当たり昨年、一昨年に在籍していたKBOでの活躍が注目されているロサリオ選手だが、実はMLBの通算WARもプラス値を残している。

 ただMLB在籍シーズン5年間でWARがプラス値だったシーズンは2年のみで、残りはマイナス値に終わっている。最後の2シーズン(2014,15年)は-0.1、-1.3と落ち込み、そのままMLBの舞台から遠ざかっている。しかしプラス値だった2年間は2.1、2.3と「先発クラス(2以上)」の数値を残しており、MLBでも十分に通用していた選手だったことが分かる。

3.ニック・マルティネス投手(1.7)

 MLB在籍シーズンは4年間ですべてレンジャーズに在籍していた。WRAがマイナスになったシーズンは一度もなかったことを考えると、投球自体は非常に安定していたことを意味する。つまり日本で成功できるようならば、長年にわたって活躍できる可能性を秘めているということになるだろう。

 しかし逆に最高値を記録したシーズンでも1.0(数値的には「控えクラス」)に留まっており、先発陣の一角としてMLBで投げ続けるには決して十分な投球ではなかったといえる。

4.テイラー・ヤングマン投手(1.1)

 MLBでの登板実績は2015年シーズンから3年間あるが、過去2年間は計9試合しか登板できていない。

 WARもMLBで21試合に先発した2015年に1.5を記録しているため通算WARがプラスになっているが、ここ2シーズンの投球だけを見ると逆にマイナスになってしまうので、“メジャー級”の投手かという点では疑問が残るところだ。

4.タナー・シェパーズ投手(1.1)

 WARの数値を上げにくい中継ぎ投手として活躍しながら通算WARでプラス値を残しているのは申し分ない実績といえる。しかもMLB在籍シーズンも6年間と長く、2013年の2.2(これは「主力クラス」を意味する)を筆頭に3シーズンでWARがプラス値になっている。

 今ではNPB史上最強クローザーの1人になったデニス・サアファテ投手でも来日前の通算WARは0.6(在籍4シーズンで一度もマイナス値はなし)だったことからも、実績という面ではシェパーズ投手は“メジャー級”といっていいだろう。

6.マット・ドミンゲス選手(0.6)

 MLB在籍シーズンは5年間だが、MLBに定着できていたのは2013、14年の2シーズンのみとなっている。

 WARも2013年に2.2と堂々の「先発クラス」の値を記録しているが、翌年は自己最多の157試合に出場しながらWARは-1.6にまで落ち込んでしまい、それ以降MLBの舞台から離れるようになり、昨シーズンはMLB出場数はゼロに終わっている。WARの点では“メジャー級”の選手とは言い難い存在だ。

7.アンドリュー・アルバース投手(0.3)

 MLB在籍シーズンは4年間だが、一度もMLBに定着したシーズンはない。通算登板数も主に先発としてわずか26試合に留まっており、実績的には“準メジャー級”になるのだろう。

 しかしWARに関しては2016年シーズン以外の3年間は0以上を記録し、中でも昨シーズンはマリナーズで自己最高の0.3を記録し、8月にMLB昇格以降は先発陣の一翼を担っている。逆にWARの点では投球そのものは“メジャー級”の投手であり、昨シーズンに自己最高のWARを残していることを考えると、かなり面白い存在だといえる。

 以上7選手を紹介した。改めて繰り返しなるが、この数値はMLBでも実績度を比較できるものであって、NPBでの活躍に直結するものではない。あくまで新外国人選手を理解する上での資料だと考えてほしい。

 昨年まで巨人で活躍していたマイルス・マイコラス投手にしても、来日前の通算WARは-0.8だったのにあれだけの投球を披露しMLB復帰を果たしているのだ。逆にここで紹介していない15選手の中からNPBで大活躍するような選手が登場してほしいと願っているし、今後はそうした選手のデータを比較検討しながらNPBで活躍できる外国人選手の実像を浮かび上がらせてみたいものだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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