Yahoo!ニュース

田中将大の次回登板は大舞台の勝負強さ?それとも過去のデータ?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
リーグ優勝決定シリーズ第1戦の登板が決まった田中将大投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 インディアンスとの地区シリーズを逆転勝利で制し、5年ぶりにリーグ優勝決定シリーズ進出を決めたヤンキース。シーズン101勝を記録したアストロズと争う同シリーズ第1戦の先発に、田中将大投手を指名した。

 地区シリーズでは連敗で迎えた第3戦に先発すると、7回を投げ3安打無失点7奪三振の好投でを演じ、まさにシリーズ逆転勝利の足がかりをつくったといっても過言ではない。今シーズンは好不調が激しい投球が続いていたが、改めて大舞台での勝負強さを遺憾なく発揮する結果となった。

 地区シリーズで先発した4人のうちソニー・グレイ投手、ルイス・セベリノ投手はポストシーズンの経験が乏しい。逆に経験、実績ともに申し分のないCC・サバシア投手はすでにピークを過ぎた37歳のベテランだ。MLBでの経験は少ないものの、2013年に楽天を日本一に導いた田中投手の実績はヤンキースも注目せざるを得ない。そんな彼の勝負強さに賭け、ジョー・ジラルディ監督は第1戦先発に起用する決断を下したのだろう。

 だが田中投手に一抹の不安があるのも事実だ。前述した通り今シーズンの投球はあまりに好不調の波が大きく、地元メディアから何度も田中投手の投球を不安視する報道が繰り返された。今シーズンのデータをチェックしても、ネガティブな要素が多い。

 まず対戦相手のアストロズだ。これまでの対戦成績をみると、明らかに田中投手が苦手にしているチームといえる。これまで4試合に登板し、0勝2敗、防御率10.38という状況。しかも今シーズンに関しては、5月4日に登板し、7安打8失点で自身最短タイの2回途中で降板しているのだ。

 さらに第1戦は適地の『ミニッツ・メード・パーク』で行われるのだが、今シーズンの田中投手は本拠地成績が9勝5敗、防御率3.22に対し、適地は4勝7敗、同6.48と、適地登板はかなり安定感を欠いている。また過去に同球場で登板した2試合も、0勝1敗、同9.00に終わっている。

 果たして次回登板は、田中投手の大舞台での勝負強さが優るのか、それとも過去のデータに打ちのめさせるか…。田中投手がヤンキースの“真のエース”として真価が問われる投球になるはずだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事