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大谷獲得資金の補強か?ドジャースがまとめた小さなトレード

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ドジャースが大谷翔平選手の獲得のための資金確保に動き出した?(写真:アフロスポーツ)

 ドジャースが現地24日、トレード成立を発表した。ブレーブスからマイナー選手のコナー・ジョー選手を獲得したという。

 25歳のジョー選手は、先月5日にショーン・ロドリゲス選手がブレーブスからパイレーツにトレードさせた際に交換要員としてブレーブスに移籍していた。移籍後はブレーブス傘下の2Aに回り、20試合に出場し打率.135に終わっており、決して若手有望選手というわけではない。このトレードを報じたMLB公式サイトも、短信で紹介している程度だ。

 普通に考えれば公式戦もあとわずかのこの時期に、すでにシーズンが終了しているマイナー選手を獲得する意味はない。公式サイトの記事でも紹介されているように、今回のトレードは選手獲得というよりも、外国人アマチュア選手の契約金に使用できる各チームに割り振られるプール金「インターナショナル・ボーナス・プール」のスペースを得るため、というのが大きな理由のようだ。

 すでに日本のメディアでも様々なかたちで報じられているが、来シーズンからMLB挑戦が濃厚な大谷翔平選手は、昨年12月から施行された新しい労働規約によりm25歳以下の選手として外国人アマチュア選手扱いになっている。そのため各チームともに、大谷選手のために用意できる契約金はプール金の範囲内で定められている。しかもドジャースは今シーズン用のプール金をすでに使い切っており、来年7月2日まではどんな選手であろうとも上限30万ドル(約3300万円)までしか使えない状況にある。

 基本的にキューバをはじめとする外国アマチュア選手の獲得は毎年夏場がピークだ。7月3日以降なら来シーズン用のプール金を得ることができるので、わざわざこの時期にプール金のスペースを補充する必要はない。と考えれば今回のトレードは、大谷選手獲得に向け資金確保に動いたとみてもおかしくはないだろう。

 とはいえトレード相手のブレーブスも、ドジャース同様にプール金の限度枠を超えており、同じく30万ドルしか使用できない状態にある。果たしてどれだけの金額分のプール金が譲渡されたのかはわからない。さらに労働規約上、プール金枠を超えたチームはあくまで上限30万ドルと決まっており、枠を広げたとしても余分に使えるのかどうかも定かではない。

 ただ今回の動きをみても、ドジャースが大谷選手獲得に向け、いろいろ準備を進めているのは間違いなさそうだ。米国メディアでも大谷選手獲得の有力候補に挙げられているドジャースだけに、今後の動きにも注目が集まるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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