スポーツ界は北朝鮮問題に関して他人事でいいのか?
北朝鮮の暴挙が止まらない。国連の安保理決議を完全に無視するように、ミサイル・核開発を推し進めている。すでに2度にわたり北朝鮮が放ったミサイルが北海道上空を通過し、北日本地域でJアラートが発動された。日本国内には着実に不穏な空気が広がっている。
誰もが平和的解決を望む中、残念ながら情勢は刻一刻と悪化の一途を辿っている。政治家や評論家の中には不測の事態に備える覚悟が必要だと声を挙げ始めている。
日本のスポーツ界はどうなのだろうか。不測の事態に備える準備はできているのだろうか。
今年5月にプロ野球のセキュリティ体制を憂う記事を公開させてもらった。これはプロ野球に限らず、日本のスポーツ界すべてが抱える問題でもある。
2001年9月11日の同時多発テロを含め、戦時中の米国でずっと現場でスポーツ取材を続けてきた。戦地が中東やアジア地域とはいえ、長年戦争を強いられている国民の精神的疲弊は大きかった。そんな国民の精神を癒す存在だったのがスポーツだ。時にはボストン・マラソンのようなテロ被害を受けながらも、米国のスポーツ産業はそれに屈することなく国民にスポーツを提供し続けてきた。
もし日本国内が不測の事態に見舞われたとしても、やはりスポーツは国民にとって重要な存在であるはずだ。どんな状況になろとうとも、スポーツ界はファンが安心して観戦できる環境を整えていかねばならないのだ。
これまでテロといえばイスラム教徒によるもので、日本では対岸の火事のように捉えられてきた。しかし北朝鮮が対象になるとなれば話は別だ。すでに拉致被害が起こっているように、日本国内で北朝鮮の工作員や協力者が暗躍できた過去があるのだ。もし彼らが日本でテロ行為を断行するとしたならば…。誰でも悲惨な状況を想像できるだろう。
今更説明する必要はないが、米国ではスポーツ・イベントが開催される際は、巨額を投じて厳重なセキュリティ体制を整えている。スポーツ・イベントがテロリストにとって格好の標的だと理解しているからだ。現在の北朝鮮情勢を考えれば、日本のスポーツ界も米国並みの危機意識を持つべき時に来ているのではないだろうか。
もちろん不測の事態が起こらないことに越したことはない。だが不測の事態が起こってから準備をしても遅いのだ。スポーツ界が惨事に見舞われないためにも未然に防ぐ覚悟と姿勢が必要だ。一刻も早いアクションを期待したい。