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飲酒運転で有罪判決を受けた姜正浩のMLB復帰はほぼ絶望的か

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
いまだ米国のビザが取得できない姜正浩選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 MLB公式サイトが6日報じたところによると、パイレーツのニール・ハンティントンGMが姜正浩(カン・ジョンホ)選手について、以下のように説明したようだ。

 「何とも残念な現実ではあるが、最初の段階(有罪判決を受けた時点)から彼はもう2度と米国のビザを取得できないかもしれないということだ。我々は何度も調整を試みたが、それを覆すことはできなかった。次回は違ったアプローチで働きかける予定で、うまくいってほしいと願っているが、ただ我々は彼が戻らない準備も進めていく必要があるだろう」

 改めて姜正浩選手の経緯について説明すると、昨年12月に韓国内で飲酒運転で立件された後、今年3月に執行猶予付きながら有罪判決を受けていた。米国では外国で過去に有罪判決を受けて人物にビザの発行を許可しない規則があるため、姜選手は米国への入国ができなくなってしまい、ハンティントンGMは開幕食前に、今シーズン中の姜選手のチーム合流は難しいとの見通しを明らかにしていた。

 ハンティントンGMの説明でもわかるように、シーズン開幕以降もチームとして姜選手へのビザ発給が実現できるよう様々な努力を続けてきたようだが、すべて徒労に終わってきた。今後は新たなアプローチで働きかけを試みるようだが、弱気な発言かたみても可能性は決して高くなさそうだ。

 韓国プロ野球での高い打撃力を評価され、ポスティング制度を経て2015年にパイレーツに入団。入団1年目からメジャーに定着し、期待通りの打撃を披露。9月に接触プレーで左脚の頸骨骨折とじん帯損傷の大けがを負い長期離脱を余儀なくされたが、復帰後は4番を任させるなど、活躍の場を広げていた。

 だがその一方で、昨年のシカゴ遠征中に女性への暴行容疑で地元警察から捜査を受けた他、今回の飲酒運転を機に実は過去にも2回の飲酒運転で逮捕されたていたことも判明するなど、プライベートでは何かと問題の多い選手だった。

 もしハンティントンGMが予測する最悪の事態になった場合でも、パイレーツは姜選手との契約が2019年まで残されている状態だ。2018年は年俸300万ドルで、2019年は同550万ドルだが、2019年はチームがオプション権を保有しており、2018年シーズン終了後に2500万ドル支払えば契約解除できることになっている。いぜれにせよ米国に戻れない姜選手に、最低でも4億円近い金額を支払わなければならないのだ。

 パイレーツはウェーバー無しのトレード期限内にショーン・ロドリゲス選手の獲得に成功し、姜選手のいない内野陣の強化に着手している。果たして姜選手の運命はどうなるのだろうか…。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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