カブス球団社長がトレード補強に慎重発言
今更MLBファンに説明する必要はないと思うが、セオ・エプスタイン氏はベースボール運営担当の球団社長として、選手補強を含めた現場の最高責任者を担う人物だ。2011年12月にレッドソックスからヘッドハンティングされ同職に就任して以来、カブスを108年ぶりのワールドシリーズ王者に押し上げた立役者でもある。
そのエプスタイン氏が地元メディアに対応し、トレード補強の噂が絶えない現在のチーム事情について説明したと、米国最大スポーツ専門ケーブルTV局『ESPN』らの複数メディアが報じている。
それらの記事によれば、エプスタイン氏は以下のように話し、トレード補強に慎重な姿勢をみせている。
「もしトレードを通じてチームを変革することができるのなら、そうするだろう。だが我々の最大の解決策はクラブハウスの中にある。我々は、この2年間200勝以上し毎年平均100勝してきたチームと同じチームだ。このチームをあるレベルのプレーができるよう選手たちを引き上げてくれるのは外から連れてくる選手ではない。
我々は現在いる選手たちでプレーのレベルを上げることができると考えている。もちろん皆がチームのためにできることを考えながら真剣に取り組んでいくしかない。それが起こりえるかもしれないし、そうならないかもしれない。だが最大の解決策は現在所属している才能ある選手たち委ねられている」
だがその一方で、カイル・ヘンドリックス投手に続きジョン・ラッキー投手も戦線離脱するなど、依然として先発投手陣が危機的状況にあるのは確かだ。そうした背景もあり、最近ではカブスがタイガースのジャスティン・バーランダー投手獲得に興味を示しているとの報道が飛び出したりもしている。
「噂話をすべて取り上げるべきではないし、噂に上がった選手がすべて最優先事項になっているわけでもない。真実もあれば、そうでないものもある。自分たちでしっかり分析するべきだ。
現在カブスのユニフォームを着ている選手で大きな改善ができるだろう。もちろんチームを改善することが可能なことは何でもやっていく。だが現在所属している選手の根本的なシフトはしないだろう」
エプスタイン氏の説明通りなら、7月31日のトレード期限内での大型補強はないと見るべきだろう。あとはエプスタイン氏の思惑通りに、チーム内の意識変革が実現することができるかが、今シーズンのカブスの行方を大きく左右することになるのは間違いない。
あくまで最悪のシナリオだが、このままチーム状況が変わらないようなことになれば、最強タッグだと思われていたエプスタイン氏とジョー・マドン監督の関係に亀裂が生じる可能性もある。いずれにせよ今月のカブスのプレーが大きな岐路になりそうだ。