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レイズ・モリソンがホームラン競争出場者の選定法に怒り爆発!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今季ここまで24本塁打を放ちながらHR競争に出場しないレイズのモリソン選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

今年のホームラン競争出場者が発表されたのは7月3日のこと。両リーグからそれぞれ4選手が選出されたのだが、中でも両リーグトップの本塁打数を誇るヤンキースのアーロン・ジャッジ選手、昨年のホームラン競争覇者、マーリンズのジャンカルロ・スタントン選手、さらにジャッジ選手と同じく新人ながら本塁打を量産しているドジャースのコーディ・ベリンジャー選手という注目株が揃って出場することで、早くも注目を集めている。

そんな中、今回の出場者選出法について真っ向から疑問を呈する選手が現れた。現在両リーグ3位タイの24本塁打を放っているレイズのローガン・モリソン選手だ。今回同選手の本音を聞き出した地元紙『Tampa Bay Times』のマーク・トンプキン記者が、その主張を記事にまとめている。

モリソン選手の主張は至って単純だ。「ゲイリーが選ばれるべきではない。彼は素晴らしい選手だが、ホームラン競争に選べれるべきではなかった」というものだ。

ゲイリーとは、ヤンキースのゲイリー・サンチェス選手のことだ。確かにモリソン選手の主張を説明すると、今回選ばれた8選手の内7選手が最低でも18本以上の本塁打を記録している中、サンチェス選手だけここまで13本に留まっているのだ。その一方でモリソン選手以外にも、20本以上の本塁打を放っているのにホームラン競争に選ばれていない選手が10名存在しているのだ。確かにサンチェス選手の選出は、多少違和感があっても仕方がないところだろう。

ただモリソン選手の怒り、不満はサンチェス選手に向かっているのではない、あくまで選出方法に疑問を呈しているのだ。以下のコメントが記事で紹介されている。

「ゲイリー・サンチェスについて述べているのではない、あくまで欠陥のあるシステムについて話している。たぶん記事がどう書かれようと文脈や前後関係は無視されて、自分のコメントを読んだ読者は、ゲイリー・サンチェスが選ばれたから嫉妬しているんだろうと捉えられてしまうだろう。でもそうではないんだ。エリック・テームズだって選ばれていない。なぜ彼がナ・リーグからホームラン競争に参加できないんだ。システムに欠陥があるとしか思えない。それに尽きる」

さらに記者から選考課程の裏に人気チームが判断材料にされているのか、と問われると、以下のように不満をぶちまけた。

「人類の歴史上、今回の疑問に対するこれ以上明確な答えはないだろう」

これは日本でも同様のことがいえるわけだが、チームごとに人気格差があるのは当たり前だ。全国中継の数など、どうしても普段から人気チームとそうでないチームの扱いに格差が生じてしまうものだ。オールスター戦も全国的に認知度のある選手が参加してくれた方がいいのは間違いないのだが、モリソン選手の主張通り、今回の選定で露骨な差別があったとは言い切れない部分はある。

だがその一方で、地元紙はすでにMLBに対し選考基準について確認しており、選考に関しては選手会の意見を取り入れながら、今シーズンの本塁打数のみならず、選手の人気度、主催チーム選手の参加、過去の成績等も考慮している、ということらしい。その内容はかなり曖昧で、これでモリソン選手が納得できるとは思えない。

今回の件に関し皆が納得できる明確な解決策はないだろうし、こうした問題は今後も起こるものだ。だがどの選手にとってもオールスター戦に選ばれることは名誉なことだ。少しでも多くの選手が納得できるかたちで選べれることを願ってやまない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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