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早くもトランプ大統領に反旗を翻したスーパーボウル覇者選手

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ホワイトハウスへの表敬訪問を拒絶したベネット選手(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

トランプ新大統領が就任した直後に、スポーツ界に及ぼす悪影響を危惧する原稿を書かせてもらった。

トランプ大統領就任で米国プロスポーツ界に及ぼす影響は?

その危惧が早くも現実になってしまった。

米国最大の人気プロスポーツであるNFL王者を決めるスーパーボウルが週末行われ、勝利を飾ったペイトリオッツの選手の1人がトランプ大統領を表敬訪問することを拒絶したのだ。

前回の原稿にも書かせてもらったが、米国の4大プロスポーツ(NFL、MLB、NBA、NHL)の優勝チームはホワイトハウスに招待され、大統領から祝福されるのが習わしになっている。かつて日本でも話題になったが、2013年にワールドシリーズを制覇したレッドソックスがホワイトハウスに招待され、上原浩治投手や田澤純一投手がオバマ大統領から労いの言葉をかけられたのを記憶している人も多いことだろう。

もちろん今回スーパーボウルを制したペイトリオッツもホワイトハウスから招待を受けることになるのだが、早々にトランプ大統領に会うことを拒絶した選手が出現したのだ。

USAトゥデイ紙が報じたところでは、スーパーボウル試合前からホワイトハウス訪問を否定していたペイトリオッツのマーテラス・ベネット選手が試合後も、改めて訪問拒否を表明したのだ。

「自分の判断に何も問題がないと思っている。人はそれぞれの信念を持っているし、自分が信念を持っていることをチームも理解していると信じている」

日本では馴染みがないことだが、米国では人気映画俳優やトップスポーツ選手が政治的な発言をするのは当たり前だと受け入れられている。だが今回のように、優勝チームの選手がホワイトハウス訪問を拒否するのはかなり珍しいケースで、改めてプロスポーツ界にもトランプ大統領不支持が根強いのが浮き彫りになった。

果たして今回のベネット選手の決断に対し、トランプ大統領はどのように反応するのか?その対応次第では、更なる追随者を生み出すことになるような気がする。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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