異星人に侵略され支配下となった世界でのレジスタンスたちの戦いを描く近未来SF『囚われた国家』

 地球外生命体によって征服され、彼らに人類が支配された世界を描く、いわゆる“ディストピア”テーマの作品です。

 2018年、突如現れた地球外生命体=エイリアンの侵略を受け、世界各地は大混乱。シカゴでは警察官のジョン・ドラモンドの一家4人が車で脱出を図りますが、両親はエイリアンに虐殺され、息子のラファエルとガブリエルは九死に一生を得て生き延びました。しかし人類は全面降伏を余儀なくされます。

 それから9年が経過した2027年。アメリカ政府はエイリアンの傀儡政権と化し、シカゴに戒厳令を敷き、その地下にエイリアン居住区を建設。彼らの天然資源採掘に協力していました。市民は体制を支持する富裕層と反体制の貧民層に二分されており、ドローンによる監視と密告の奨励、特捜班の圧力による超監視社会が形成されていたのです。貧富の差はかつてないほど拡大されており、この状況をなんとかしたいと願う人々はレジスタンス活動に身を投じています。彼らはスタジアムで行われるイベントに対するテロを計画。これに成長したラファエルとガブリエルの兄弟も巻き込まれていくのです。

 近未来SFですが、舞台はシカゴに限定され、VFXもそれほど使われていないので、比較的低予算で作られています。しかし、その分、アイディアが満載! 正直言って、レジスタンスの行為は単なる爆弾テロに過ぎないので、“こんな作戦、成功したといってもいったい何の意味があるのだろう?”と思いながら観ていたのですが、ラストに至って“なるほど、こういうことだったのか”と納得。脚本はとても練りこまれています。製作・監督・脚本は『猿の惑星:創世記』のルパート・ワイアット。

 映画の構成としては、名作『大脱走』に似ています。映画の前半はレジスタンスが監視の目をかいくぐりながら作戦の成功に向けて突き進んでいく姿を描き、後半は作戦の実行と政府側に追われていくレジスタンスの姿を描いていくのですから。ばらばらに描かれていたレジスタンスたちの行動が、次第に一本の糸に縒り合されていくように作戦の全容が見えていくあたりのスリリングな展開、作戦終了後に一人一人が追いつめられていくサスペンスはお見事。同時にこの映画は、全体主義化した監視・分断社会の恐ろしさを描いた社会派の作品でもあります。事実の隠蔽、メディアの情報操作などに対する問題提起もしているのです。

 出演はジョン・グッドマン、ヴェラ・ファーミガ、ケヴィン・ダン、アラン・ラックなど。

(『囚われた国家』は4月3日から公開)

配給:キノフィルムズ

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