巨大モンスターが大暴れ! 韓国のアクション・エンタメ時代劇『ムルゲ 王朝の怪物』

 巨大なモンスターが大暴れする韓国映画と言えば思い出すのが『グエムル 漢江の怪物』ですが、本作『ムルゲ 王朝の怪物』は時代劇。朝鮮王朝時代の「朝鮮王朝実録」に記された短い一説、「中宗の治世中に物怪(ムルゲ)と呼ばれる不可解な存在(あるいは事件)により、宮殿中が恐慌に陥り、王が居城からの退去を余儀なくされた」にヒントを得たホ・ジョンホ監督が、自由な着想で創造した物語です。

 朝鮮・中宗22年(1527年)、国に疫病が蔓延する中、宮廷の背後にそびえる仁王山に“物怪(ムルゲ)”が現れるという噂が広がっていました。ムルゲに遭遇した人間は疫病にかかり悲惨な死を遂げるというのです。王は民衆の不安を取り除くために、かつて政争に敗れて宮廷から追放された朝鮮最強の武人ユン・ギョム(キム・ミョンヨン)を呼び戻し、調査を命じます。ユン・ギョムは長年の同僚だったソン・ハク、弓矢の腕前と医術の知識を持つ養女のミョン(イ・ヘリ)、ミョンに恋心を抱くホ宣伝官(チェ・ウシク)と共に山に入りますが、そこにはムルゲの仕業に見せかけて中宗を失権させ、王位簒奪を目論む陰謀が隠されていたのです。しかも、そんな人間たちの暗闘をせせら笑うかのように、本物のムルゲも出現します。果たして、このおぞましい怪物を倒すことはできるのか?

 中宗の前に王だったのが、失政が多く、遊興に国費を使いまくった暴君の燕山君だということを知っておくと物語の背景が理解しやすいかと思います。朝鮮王朝の例にもれず、中宗も常に党争のはざまに置かれ、朝廷で発言力を持ち、私兵まで持っている有力者の領議政(ヨ・インジョン=朝廷の最高官職)の顔色を窺わなければならない状況に置かれています。こうした苦境に立たされた王を勇者が救うという典型的な(しかし爽快な)展開の時代劇エンターテインメントになっています。

『パラサイト/半地下の家族』のチェ・ウシクも活躍
『パラサイト/半地下の家族』のチェ・ウシクも活躍

 若いホ宣伝官に扮するのは『パラサイト/半地下の家族』でソン・ガンホの長男を演じたチェ・ウシク。ミョンにはK-POPのガールズグループ“GIRL’S Day”のイ・ヘリが扮します。この二人が見せる初々しいラブロマンスも、激しいアクションに華を添えます。

 CGIで作り上げられたムルゲの禍々しさも見どころの一つ。全身から膿みただれていて、いかにも疫病の発信源らしいおぞましさ。しかも早い動きで飛び回り、人間を食いちぎり、踏みつぶしていきます。このあたりの描写は容赦なく、オールセットで作られた王宮を縦横無尽に駆け回るスピード感あふれるアクション&サスペンスが楽しめます。

(付記)

 昨年公開の某韓国映画同様に、「ああ、これは絶対に死んだな」というキャラクターが生き残っており、ラストでおまけのように「どうやって助かったか」の謎解きがあります。この手法って、韓国では流行っているのでしょうか?

(『ムルゲ 王朝の怪物』は3月13日から公開)

配給:インターフィルム

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