南北朝鮮国境の地下空間に閉じ込められた傭兵たちの戦いを描くハ・ジョンウ主演作『PMC:ザ・バンカー』

『テロ、ライブ』でも緊迫した映像を見せてくれた主演ハ・ジョンウとキム・ビョンウ監督が再び組んだ作品。今回も期待に違わぬ出来栄えです。タイトルの“PMC”とは“民間軍事企業”のこと、すなわち傭兵で、“ザ・バンカー”は韓国と北朝鮮の軍事境界線(DMZ)の地下30メートルに広がる巨大な軍事要塞を示します。「もし国境の地下に巨大な空間があったら?」というアイディアをもとに作り上げられた作品なのです。

 舞台は近未来。アメリカは北朝鮮と対話し、経済制裁を解除します。しかし、これが中国の強大化を招き、アメリカは深刻な不況に陥ってしまいました。支持率が下がったアメリカ大統領は、大統領選挙を前に思い切った計画を立てます。いまだに核開発を続ける北朝鮮の核施設を武力で破壊することによって、強引に“非核化”を成し遂げようというのです。

 そのため、施設の正確な位置を知る北朝鮮の要人をひそかに亡命させる作戦が立てられました。実行するのはCIAから依頼を受けたPMCのチーム“ラプター16”で、リーダーは元韓国軍人のエイハブ(ハ・ジョンウ)。地下バンカーを舞台にしたこの極秘ミッションは、たった10分間で終わるはずでした。しかし、予期せぬ事態が起こります。やって来たのは予定されていた要人ではなく、北朝鮮の最高指導者“キング”だったのです。さらにそれを追って中国側のPMCが大量の兵士を送り込んできました。仲間の裏切りもあってエイハブたちは完全に孤立。極限状態のなかで決死の脱出行に挑まざるを得なくなります。

 北朝鮮を支配しようと目論む中国と自国の利益しか考えないアメリカ。そんな大国同士の代理戦争に巻き込まれ、捨て駒にされた傭兵たちの絶望的な戦いを描くサバイバル・アクション。そんな中で、エイハブはキングの主治医であるユン(演じるのは『パラサイト/半地下の家族』で金持ち父さんに扮したイ・ソンギュン)と立場を超えた友情で結ばれていきます。この男たちの絆がアツい! 最初は「ハ・ジョンウでアクション映画?」という疑問も抱いたのですが、彼は軍隊時代に足を負傷していて、その義足が破壊されたことによって指令室から動けないという設定。リモートコントロールされるドローンや兵士たちに取り付けられたカメラの映像、各所に設置された監視カメラの映像を通して部下に指令を送ることしかできません。この「自分は動けない」という状況がじりじりとした焦燥感を感じさせてくれるのです。POV映像やドローンを駆使したカメラワークも緊張感たっぷり。『テロ、ライブ』同様に限定空間をうまく使っています。

 そして何よりも、まったく先が読めない展開が楽しませてくれます。詳しくは見てのお楽しみなのですが、傭兵たちを次々と襲う危機また危機は、「こりゃ、完全に詰んだな」と思わせるようなものばかり。それをエイハブはどうやって切り抜けていくのか。本当に最後の最後まで目が離せない映画なので、心してご覧ください。

(付記)

 海外マーケットを強く意識している韓国映画らしく、主演格の二人以外は欧米の俳優たちが集められ、セリフも朝鮮人同士の会話やエイハブの独白を除いてはほとんどが英語になっています。

(『PMC:ザ・バンカー』は2月28日から公開)

配給:ツイン

(c)2018 CJ ENM CORPORATION, PERFECT STORM FILM ALL RIGHTS RESERVED

本作の監督・主演コンビの前作『テロ、ライブ』のレビューはこちらにあります。