ブライアン・デ・パルマ監督久々の新作はテロの脅威を描いたサスペンス『ドミノ/復讐の咆哮』

 サスペンス映画の巨匠ブライアン・デ・パルマ監督が、『パッション』(12)以来約8年ぶりに発表した新作。

 デンマークのコペンハーゲン。刑事のクリスチャン(『ゲーム・オブ・スローンズ』のニコライ・コスター=ワルドー)は相棒のラース(ソーレン・マリン)と共に市内をパトロールしている途中で殺人事件に遭遇。クリスチャンは殺人犯タルジ(エリック・エブアニー)を取り押さえますが、ふとした隙に逃走され、ラースが瀕死の重傷を負わされてしまいます。すべてはクリスチャンが拳銃の不携帯という致命的なミスを犯したせいでした。

 自責の念もあって同僚の女刑事アレックス(『ブラックブック』のカリス・ファン・ハウテン)と共にタルジの行方を追うクリスチャン。しかし偶然の遭遇から始まった事態は“ドミノ倒し”のように展開していき、いつしか彼らは国際的なテロ事件に巻き込まれていくのでした…。

 相棒の仇として元特殊部隊員だったタルジを追うクリスチャンとアレックス。そのタルジは家族を人質に取られてISの幹部アルディーンを探し出すようにCIAのジョー(『アイアンマン3』のガイ・ピアース)に命じられていたのです。タルジの父親の仇でもあるアルディーンはオランダ映画祭で非情なテロを実行し、さらにスペインで大規模なテロを計画していました。絡み合う彼らの運命の結末は?

 音楽は何年もデ・パルマと名コンビを組んできたピノ・ドナッジオ。クライマックスではセリフを極端に抑えた映像で、音楽によってサスペンスを盛り上げる効果を上げています。デ・パルマお得意のスプリットスクリーンは、映画祭での自爆テロの場面でネット動画という形で登場。いつもとは一味違った描き方を見せるのです。

 今回はテロリズムの脅威に正面から向かい合ったデ・パルマ監督。特に各国が陸続きで国境を接しているヨーロッパでは(EU加盟国同士の人の行き来が容易なこともあって)テロリストの移動や拡散は深刻な問題です。本作には一部、テロリスト視点でテロ行為を描いた部分もあり、その凶悪さを観客に強く印象付けます。

 それにしても、かつては『アンタッチャブル』『ミッション:インポッシブル』のようにハリウッド・メジャーの大作を任されていたデ・パルマですが、近年はヨーロッパ資本の小品が続いています。しかも作品ごとのインターバルも長くなるばかり。もはやハリウッドでは撮れなくなったのでしょうか…。新作を観られるのはうれしいけれど、昔からのファンとしては一抹の寂しさを感じるところです。

(『ドミノ/復讐の咆哮』は2月14日から公開中)

配給:トランスフォーマー