失職、妻の不倫、預金ゼロ…負のスパイラルにはまった男のどん底からの大逆転『グリンゴ/最強の悪運男』

 この2か月の間にシャーリーズ・セロンが製作&出演の作品が3本も日本公開されるというハイペース。その内の1本で、彼女がとんでもない性悪女に扮した作品がこの『グリンゴ/最強の悪運男』です。ちなみにタイトルの“グリンゴ”とはスペイン語で“よそ者”を意味するスラング。ヒスパニックの人々がアメリカ人を小馬鹿にするニュアンスで使われる言葉です。

 製薬会社の管理部長であるハロルド(デヴィッド・オイェロウォ)は、シカゴの本社とメキシコの工場を行き来し、朝から晩まで懸命に働いてきました。しかし友人だと思っていた社長のリチャード(ジョエル・エドガートン)と共同経営者で愛人でもあるエレーン(シャーリーズ)は金もうけしか頭になく、会社を大企業に買収させ、ハロルドをお払い箱にしようと計画していたのです。メキシコ出張中にその事実を知ったハロルドは、すぐに妻のボニー(タンディ・ニュートン)に連絡しますが、妻からは不倫を告白されただけではなく、離婚も切り出されてしまいます。仕事も家庭も失っただけでなく、贅沢好きな妻のために財産もほとんどなくしているハロルドはやけになり、狂言誘拐で会社から大金を奪う計画を立てたのですが…。

 ハロルドが殺されれば生命保険が入ると知ったリチャードには殺し屋を送られ、現地のギャングにまで狙われる始末。さらには一攫千金を目論んだチンピラ二人組にまで襲われて、ハロルドの命は風前の灯に。加えて、リチャードがボニーと関係を持っていることをエレーンが知ったことで事態はますます複雑に。果たしてハロルドの運命やいかに?

『グローリー/明日への行進』でキング牧師に扮して注目されたデヴィッド・オイェロウォが徹底的にお人好しなハロルドに扮して笑わせてくれます。真面目に生きてきたはずなのに不幸のどん底に落ちてしまった男の大逆転劇には胸がスカッとさせられるのです。

その他の俳優陣もいずれも好演。最低の“モンスター上司”に扮したエドガートン、下品な性悪女ながらもしたたかに世の中を渡っていくエレーン役のシャーリーズ(あまりに恥ずかしいセリフが多くて、撮影中に赤面することもあったとか)の悪役ぶりが強烈です。シャーリーズはこの企画を持ちかけられた際に、すぐに気に入って製作にも参加。彼女は先日公開された『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』と本作、そして2月21日から公開される『スキャンダル』でまったく違う女性像を見せながら、それぞれの作品で魅力を発揮しています。以前のハリウッドならば、当たり役があれば似たような役ばかりをオファーされることが多かったのですが、タイプキャストを避けるという意味でも、自ら製作に参加して自分の出たい映画に出るというスタンスを彼女はとっているのでしょう。

 人道主義者でボランティア活動をしながらも殺人を請け負う男(『第9地区』のシャールト・コプリーがこの変なキャラにはまっています)やビートルズに妙なこだわりを持つギャングのボスなどのくせ者キャラクターも乱入。そんな中にあって『マンマ・ミーア』のアマンダ・サイフリッド扮する女性の存在が、唯一優しさを感じさせてくれる一服の清涼剤になっています。

 監督はジョエル・エドガートンの兄でバイプレイヤーとして知られていたナッシュ・エドガートン。

(『グリンゴ/最強の悪運男』は2月7日から公開)

配給:キノフィルムズ

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