ユンファ兄貴の二挺拳銃が帰ってきた! トリッキーな仕掛けも楽しめる『プロジェクト・グーテンベルク』

 かつて『男たちの挽歌』などの香港ノワールで一世を風靡して“亜州影帝”と呼ばれ、ハリウッド進出も果たしたチョウ・ユンファ。そんな彼が久々に本格的な香港アクション映画の世界に帰ってきました。

「贋札製造グループの話」というと、『オーシャンズ』シリーズに代表されるような知的でスマートな“コンゲーム”映画を想像しますが、この『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』に出てくる犯罪組織はバリバリの武闘派。贋札の素材の強奪や完成品の取引などにあたっては、殺人や銃撃戦も辞さず、派手な戦闘行為をくりひろげていきます。

 タイの刑務所から香港警察に引き渡された男、レイ・マン(アーロン・クォック)。彼は世界を震撼させた国際的贋札製造集団の一員で、仲間の殺害など数々の容疑がかけられていました。そんな彼は、今なお行方不明の一味の首領・“画家”(チョウ・ユンファ)に関する尋問を受けることになります。“画家”に最愛の人を殺され復讐に燃えるホー警部補(キャサリン・チャウ)の前で、レイは自身の過去について語り始めます。冷酷無比な“画家”の報復におびえながら…。

 レイの回想の形で描かれるユンファの“悪のカリスマ”ぶりがすさまじい迫力。裏切りは絶対に許さず、邪魔するものには容赦なし。目的のためならどんな非道なことも平気で行なう悪党でありながら、仲間にとっては頼れるリーダーでもある“画家”は、ユンファが演じることで悪の魅力をふりまいているのです。

 監督・脚本は『インファナル・アフェア』シリーズの脚本家だったフェリックス・チョン。かなりトリッキーな作風で、観客の予想を覆す作品に仕上げています。監督曰く、「ミステリー色の強いアクション映画」。同時にこの作品は、過去の香港映画へのオマージュが詰まった映画でもあります。なんといっても『男たちの挽歌』でおなじみのユンファ兄貴の二挺拳銃が復活! それだけにとどまらず、“二挺マシンガン”という派手な技まで見せてくれるのですから。監督の熱意に応えてか、還暦を過ぎたユンファも、ワンシーンを除いてはスタントなしでアクションに挑んでいます。

 また『インファナル~』シリーズに見られる、詩情あふれる描写も見どころ。特にラスト近くで明かされる、ある“真実”には、最近話題の某ハリウッド映画にも似た、何とも言えないやるせなさを感じてしまうのです。

(『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』は2月7日から公開)

配給:東映ビデオ

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