死者を復活させる墓場が、ある家族に悲劇をもたらす…。スティーヴン・キング原作の『ペット・セメタリー』

 スティーヴン・キングは“モダン・ホラーの第一人者”と呼ばれ、超自然的なテーマを描くことが多いのですが、同時に、きわめて個人的な題材をモチーフにする作家でもあります。たとえば、いじめられっ子だった少年時代は『スタンド・バイ・ミー』や『IT』に、教師を辞め作家になろうと苦闘していた時代は『シャイニング』に、売れっ子作家になって熱烈なファンにつきまとわれた事件は『ミザリー』に、といった具合。本作の原作『ペット・セマタリー』(子供が書いたスペルミスをそのままタイトルにしている)もまた、父親になったキングが抱いた「愛する者を失うことへの恐怖」が描かせた作品です。実際にキングは原作の描写通りの場所に住んだことがあって、猫の事故死や息子が車に轢かれそうになるといった体験をしているのだそう。

 書き上げたものの「あまりに私的な題材で、出版するのが恐ろしい」という理由で3年間も机の引き出しの中で眠っていた小説は、83年に出版されるや32週連続でニューヨークタイムズのベストセラー・リストに掲載される売れ行きを示し、89年の映画化はそれまでのキング原作映画最大のヒットになりました(つまり『キャリー』や『シャイニング』、『スタンド・バイ・ミー』よりもヒットしたわけです)。本作『ペット・セメタリー』はその約30年ぶりの再映画化作品。

 都会から、メイン州ウッドロウ(『IT』の舞台になったデリーの近く)という田舎に引っ越してきた医師のルイス(ジェイソン・クラーク)の一家。敷地には広大な森が広がっていますが、家のすぐ前の道は大型車が行きかう街道になっていて、不安感がつのります。娘が可愛がっていたペットの猫が事故死した時、娘の悲しむ顔が見たくないと思ったルイスに、隣人のジャド(ジョン・リスゴー)はある秘密を教えました。森のさらに奥には、ペットの墓場があって、そこに埋葬すれば死者を生き返らせることができるのだというのです。その教え通りにやってみると、果たして猫は何事もなかったかのように帰ってきました。しかし、その中身は凶暴で邪悪なものに変わっていたのです。森の奥は、先住民が語り継ぐ禁じられた場所なのでした。

 そして迎えた娘エリーの誕生日。彼女は交通事故で帰らぬ人になってしまいます。その後、ルイスがとった行動とは…。

 基本的なストーリーの流れは原作や旧作と同じですが、事故に遭うのが3歳の息子ではなく8歳の娘エリーになったことで、その後の展開は大きく変わっています。エリーを演じたジェテ・ローレンスが不気味な雰囲気を漂わせて好演。さらに全編にわたって“死”のイメージが強烈に描かれていきます。

 ルイスが救おうとして果たせなかった、事故死した学生の死体。ルイスの妻レイチェルが少女時代に体験した、難病にかかって亡くなった姉との忌まわしい思い出。この二つが繰り返し画面に登場し、実際に事件が起きる前から主人公や観客を不安にさせる効果をあげていくのです。

 救いようのない話ですが、家族に対する愛情が根底にあるので、悲しくも切ない余韻が残ります。旧作のエンディングには原作小説のファンであるラモーンズの「ペット・セマタリー」が流れましたが、本作でもそのカバー・バージョンが流れます。

(『ペット・セメタリー』は1月17日から公開)

配給:東和ピクチャーズ

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