その名を知ってはいけない。そして目をそらしたら、死ぬ…。Jホラーに新キャラクター誕生『シライサン』

「〇〇したら殺される」という設定はホラー映画によくあるパターンで、「このビデオを見たら死ぬ」「音を立てたら殺される」「このカメラで撮られたら死ぬ」など、さまざまなバリエーションの映画が作られてきました。そんなホラー映画の歴史に、また新たなキャラクターが登場します。それが『シライサン』です。

 薄暗い通りを歩いていると、どこからか鈴の音が聞こえてきて、突然、異常に目が大きく髪の長い不気味な女性が現れる。一瞬でも目をそらしたら、どんどん彼女は近づいてきて、その先に待っているのは…。

 レストランで親友の香奈と食事をしていた女子大生の瑞紀(飯豊まりえ)。突然、香奈が「来ないで!」と叫んだかと思うと、眼球を破裂させるという異様な姿で突然死してしまいます。数日後、大学生の春男(稲葉友)が瑞紀を訪ねてきました。春男の弟・和人もまた、香奈と同じような姿で不審死をとげていたのです。香奈と和人がバイト仲間であり、一緒に温泉旅行をしていたことを知った春男と瑞紀は、旅行の同行者だった詠子(仁村紗和)を訪ねますが、そこで奇怪な都市伝説のことを知ります。香奈や詠子、和人は旅館のロビーで酒屋の配達人の男からその怪談を聞かされていたのです。

 その名前を知っているものを狙って現れる不気味な存在“シライサン”。彼女のことを知ってしまった春男と瑞紀も標的になってしまうのか? 一方、その頃、連続不審死の謎を追っていたジャーナリストの間宮(忍成修吾)もまたシライサンの存在にたどり着いていましたが、怪談話を信じない彼は、シライサンの話を脚本家の妻・冬美(谷村美月)に話してしまいます…。

 監督・脚本の安達寛高は、小説家・乙一としても活躍している人。シライサンの属性として、「その名前を知った時から呪われる」の他にも、「目をそらしたら殺される」という設定を付け加えています。それによって「目をそらさなかったら助かるのではないか?」という条件が加わるわけで、生死をかけたギリギリの攻防戦も見どころになっているのです。

 目の前で死んでしまった友人や、亡くした我が子への想いが描かれる、泣けるシーンが含まれているのも特徴で、このあたりが乙一作品らしいところ。映画とは展開を変えた小説版も発表されていますので、比較してみるのも楽しいかもしれません。

 香奈たちに怪談話を語る酒屋の配達人に扮するのは染谷将太。出番は少ないのですが、その場をさらってしまうほどの存在感を見せていて感心させられました。

(『シライサン』は1月10日から公開)

配給:松竹メディア事業部

(c)2020松竹株式会社