冴えないジャーナリストと才色兼備の女性大統領候補の恋の行方は?『ロング・ショット』

 シャーリーズ・セロンは、女優であると同時に、優れたプロデューサーでもあります。実在の連続殺人犯を演じてアカデミー主演女優賞に輝いた『モンスター』は彼女自ら製作を兼任した作品でした(しかもこれが彼女の初製作作品)。最近でも『アトミック・ブロンド』『ダーク・プレイス』『スキャンダル』など、意欲的に製作作品を送り出し続けているのです(自身が出演していない場合でも『プライベート・ウォー』などをプロデュース)。本作『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』もまた、彼女が共演者のセス・ローゲンと共同で製作を手がけた映画。

 才色兼備、アメリカの国務長官として活躍し、次期大統領候補の呼び声も高いシャーロット・フィールド(シャーリーズ)は、あるパーティーでジャーナリストのフレッド・フラスキー(ローゲン)と偶然の出会いを果たします。実は彼女はフレッドが子供の頃にベビーシッターをしたことがあり、フレッドにとって彼女は初恋の人だったのでした。

 才能はあるが融通のきかない性格ゆえに失業中のフレッドを、シャーロットは自分のスピーチライターに起用し、世界を飛び回る公務に同行させることに。やがて旅の途中で互いの素顔に触れたことによって、二人は次第に惹かれ合っていきますが…。

 90年代のラブストーリー『プリティ・ウーマン』の逆パターンを思わせる内容。『プリティ~』ではリチャード・ギアがジュリア・ロバーツを迎えに行ったことでハッピーエンドになりましたが、この映画の場合はそう簡単にはいきません。シャーロットが女性でしかも大統領候補であるということで生じるハードルが、二人の前に立ちはだかっていくのです。ジェンダーの問題がクローズアップされるあたりが、いかにも現代的。

 そんな中で、政治状況やマスコミの現状をシニカルに笑い飛ばしながら、きわどい下ネタも散りばめた爽快なラブコメディーが展開していきます。シャーリーズは恋する女性の可愛らしさを全開させていて、とても『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『アトミック・ブロンド』に出ていた人と同一人物とは思えないほどの変貌ぶり。もともとローゲンのスタッフが持っていた脚本に彼女が興味を示して参加したことで映画化が実現したもので、このあたりは製作者として自分の魅力を活かすことを知っている見事な判断力と言えましょう。まだまだ男性社会のハリウッドで、女優が本当にやりたい役を演じ続けるためには、自ら製作に乗り出すしかないのかもしれませんね。

 共演は、元TVスターで俳優復帰を計画中の現大統領にボブ・オデンカーク、イケメンのカナダ首相にアレキサンダー・スカルスガルド、陰謀好きなメディア王にアンディ・サーキス(またしても特殊メイクで素顔のわからない役!)という顔ぶれ。監督は『50/50 フィフティ・フィフティ』のジョナサン・レヴィンです。

(『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』は1月3日から公開)

配給:ポニーキャニオン

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