ブルース・リーにオマージュを捧げた映画がインドから登場!『燃えよスーリヤ!!』

 没後45年以上も経過した今もなお、世界中の映画ファンに愛され、影響を与え続けているスター、ブルース・リー。今度はインドから、彼にオマージュを捧げた映画が登場しました。2018年のトロント映画祭では「ミッドナイト・マッドネス部門」に出品され、観客賞を受賞した『燃えよスーリヤ!!』です。

 生まれながらに痛みを感じない特殊な体質の持ち主であるスーリヤ。いじめっ子たちの標的になっていた彼を救ってくれたのは幼なじみの女の子スプリだけでしたが、やがて別れの時が…。祖父はスーリヤを見かねてカンフー映画やアクション映画のVHSを大量に渡します(ちょうどDVDに切り替わる時期で、ビデオ屋が商品整理をしていた)。スーリヤはその中で、“空手マン”と呼ばれる男マニが見せる“百人組手”の映像に衝撃を受けました。「俺もカンフーマスターになる!」そう誓ったスーリヤはビデオを手本に独学でカンフーの特訓に明け暮れます。

 そして時は流れ、成長したスーリヤはスプリと再会。マニと双子の弟ジミーの争いに巻き込まれていくことになるのです。

 監督・脚本は本作が長編2作目にあたるヴァーサン・バーラー。ブルース・リーの大ファンを公言しているだけに、小ネタをいくつも放り込んでいます。おなじみの黄色と黒のトラックスーツではなく、えんじに白のストライプの入ったジャージを主人公に着せているのは、映画『死亡遊戯』ではなく別のTVドラマからの引用と、選択はかなりマニアック。

 主人公のモノローグがかなりフィーチャーされていますが、モノローグの中で嘘を語ったり時間を巻き戻したりと、このあたりはクエンティン・タランティーノ監督作品にも似たテイスト。突然『ターミネーター』もどきの映像が挿入され、セリフではハリウッド作品やスターの名前がたびたび登場するなど、映画ファンをニヤリとさせるお遊びもあります。現代風のスピーディーなアクションではなく、あえて80年代香港映画風に撮影しているのも監督のこだわりでしょう。ブルース・リーだけではなく、ジャッキー・チェンや格闘ゲーム、アメコミからもインスピレーションを受けているようです。

 アクションのスタイルも多様で、これが俳優デビュー作になるアビマニュ・ダサーニー扮するスーリヤは、特に決まった型を持たず、空手やカンフー、映画で見たファイトスタイルをミックスさせたもの。マニ役のグルシャン・デーヴァイヤー(悪役のジミーも一人二役で演じている)は極真空手に似たスタイル。ヒロイン、スプリ役のラーディカー・マダンはダンスのインストラクター出身という身体能力を活かしてスカーフを使った変則アクションに挑戦。いずれも体を張ったファイトシーンを見せてくれます。

 全体的にコミカルな仕上がりの映画ですが、クライマックスは『ドラゴンへの道』でのブルース・リー対チャック・ノリスを意識したバトルが展開。逆境からの反撃という、アツい盛り上がりを見せてくれるのです。

 インド映画ですから、当然キャラクターの心情を歌で表現するシーンはいっぱい登場。しかし、ダンスで物語を中断するようなことはないのでご安心を。インドで女性たちが抱える問題にも、少しだけですが言及しています。

(『燃えよスーリヤ!!』は12月27日から公開)

配給:ショウゲート

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