これが”史上最低の映画”だ! 最低映画の帝王エド・ウッドの作品が、なんと劇場で再公開される!

『プラン9・フロム・アウタースペース』 (c) Legend films.

 エド・ウッドことエドワード・D・ウッド・Jr。あふれんばかりの映画愛を持ちながら、悲しいほどに才能に恵まれなかった彼の物語は、94年にティム・バートン監督がジョニー・デップ主演で映画『エド・ウッド』を作ったことで広く知られるようになりました。そんな彼が“史上最低の映画監督”と呼ばれるきっかけになった作品が、リニューアルされて日本公開されることになりました。

『死霊の盆踊り』 (c)1965 Astra Productions, under license from Vinegar Syndrome
『死霊の盆踊り』 (c)1965 Astra Productions, under license from Vinegar Syndrome

 まずは彼が原作と脚本を担当した『死霊の盆踊り』(54)。深夜のドライブ中に墓場に迷い込んでしまったカップル。その前では夜の帝王クリスウェルが、闇の女王に命じて不幸な死をとげた女たちの霊を呼び出し、死者たちの饗宴を開こうとしていました。

 ストーリーらしいストーリーはこれだけ。あとは次々と登場する美女たちが、ひたすらに裸踊りを(と言ってもポルノ解禁前の作品なので、全裸にはならずトップレス止まりですが…)繰り広げていくのです。演出は単調ですし、合間に登場するカップルや夜の帝王たちの芝居も、英語が得意でない人が聴いても下手くそなことがわかるレベル。しかもカップルの女性の方はダンサー役でも出演しているという低予算です。いわゆるヌーディー映画(裸を見せるために作られた映画)の一本。

 日本ではまだエド・ウッドが有名になる前のビデオバブルの時代、87年に劇場公開され、ソフト化の際にはこの邦題(原題は『ORGY OF THE DEAD』)が話題になり、カルトムービー扱いされたことも。当時はスタンダード・サイズの上映でしたが、今回は本来のサイズであるビスタサイズでの上映。しかもHDリマスター版になっています。

 個人的感想では、家で飲み会のBGV代わりに流しながら、会話の合間に画面を観ながらツッコむ、という鑑賞法が最適な作品だと思うですが、あえて92分の間、映画館の暗闇の中でこの作品と正面から向き合うというのも、ひとつの貴重な映画的体験なのかもしれません。

 続いて公開されるのが、エド・ウッド自身の監督作品(製作・脚本・編集も兼任)で、“映画史上最低の作品”に選ばれたこともある『プラン9・フロム・アウタースペース』(59)。この映画の撮影中の様子は映画『エド・ウッド』でも描かれていましたから、ビジュアルに見覚えがある方も多いでしょう。

 全米各地にUFOが襲来。同時に墓場から死者が次々とよみがえります。これは宇宙人が人類を征服するために行なった最終手段“第9計画”だったのでした。果たして人類はこれを阻止できるのか…。

 バカバカしいストーリーに平板な演出、学芸会並みのセットや衣装、特撮と呼ぶのが恥ずかしいレベルの特撮、大仰なだけで棒読みなセリフの数々…、あまりにひどすぎるがゆえに、逆に楽しくなってしまう不思議な映画です。

『魔人ドラキュラ』で知られるベラ・ルゴシの遺作になりますが、彼が途中で死亡してしまったため、生前のフィルムを繋ぎ合わせたり、別人が顔を隠して彼の代役をつとめるなど、涙ぐましい労力が(まったく成果が見えないけれど)つぎ込まれています。本来はモノクロ映画ですが、今回はカラライゼーションが行なわれた“総天然色版”での公開。

 ところで、この『プラン9』とエド・ウッドが“映画史上最低”に選ばれたのは1980年のこと。それから40年近い時間が流れた現在、彼を超える“最低”監督は登場したのでしょうか? そこは映画ファンそれぞれの判定におまかせします。

(『死霊の盆踊り』は12月28日から、『プラン9・フロム・アウタースペース』は2020年1月11日から公開)

配給:エデン