あの人気シリーズが令和の世に復活! 山田洋次監督が家族の絆を描いた『男はつらいよ お帰り 寅さん』

 

あの懐かしい姿が描かれたポスター
あの懐かしい姿が描かれたポスター

 1969年に始まり、日本の国民的映画として愛された『男はつらいよ』シリーズ。主人公の“寅さん”こと車寅次郎を演じた渥美清が96年に亡くなったことでその幕をいったん下ろしたのですが、シリーズ開始50年という節目の今年、最新の50作目『男はつらいよ お帰り 寅さん』で復活しました。

 もちろん主演俳優は亡くなっていますから、寅さんに関する新規の撮影はできません。かといってCGでキャラを作ったり、そっくりさんを登場させたりするのも興ざめ。そんな中、山田洋次監督は、単なる総集編や名場面集にすることも避け、まったく新たなドラマを作り上げました。

 実質的な主人公は、さくら(倍賞千恵子)と博(前田吟)の息子で、寅さんにとっては甥にあたる満男(吉岡秀隆)です。妻に先立たれ、中学3年生の娘と二人暮らしの満男は小説家になり、著作の評判は良いのですが、次回作の執筆に乗り気になれずモヤモヤする日々を送っていました。そんなある日、彼は初恋の人で現在は海外在住のイズミ(後藤久美子)と再会。

 今はジャズ喫茶のママになっているリリー(浅丘ルリ子)やイズミの母・礼子(夏木マリ)も登場。懐かしい人たちとの時間が流れ、語り合ううちに、満男にはいつも自分の味方になってくれた伯父・寅さんの思い出がよみがえるのです。

 柴又帝釈天参道の草団子屋「くるまや」がカフェに生まれ変わっていたりと、時代の流れを感じさせる設定もありますが、変わらないのは下町らしい家族や仲間の絆です。そんな中で満男は、疎遠になっていた礼子とその元夫の一男(橋爪功)のために奔走することになります。そう、かつて寅さんが人の世話ばかり焼いていたように…。

 ここで描かれるのは山田監督がずっと追い続けてきた「家族」の物語。たとえ離れ離れでも、たとえ疎遠になっていたとしても、やっぱり家族は大切で愛おしいものなんだということを改めて感じさせてくれるのです。登場人物ひとりひとりに注がれる優しい視線に心が癒されていきます。

 4Kデジタル修復された過去の映像は、現在の部分に比べても遜色なくとけこんでいます。そしてその中に見られる寅さんの表情の活き活きしていること! 渥美清という俳優がいかにすごいコメディアンであったかということを再認識させられました。

 おなじみの主題歌を歌うのは「音楽寅さん」という番組をやっていたこともあった桑田佳祐。歴代マドンナたちの映像も流れますが、そこに物故者が多くなったのは悲しいです…。

(『男はつらいよ お帰り 寅さん』は12月27日から公開)

配給:松竹

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