宇宙から落ちてきた少年は、”邪悪なスーパーマン”だった…。『ブライトバーン/恐怖の拡散者』

 アメリカ中西部の田舎町ブライトバーン。子供ができないことに悩んでいる夫婦のもとに、空から奇妙な物体が落ちてきます。宇宙船のような“それ”の中にいたのは男の赤ん坊。夫婦は彼を自分たちの子供として育てることを決意。男の子は2人の愛情を一身に受けて聡明な少年に育ちますが、ある日、自分が他の子供とは違う特殊な能力を持っていることに気付いてしまいます…。

 ここまでのストーリー、地名を「スモールビル」に変えると、まんま『スーパーマン』の導入部。しかし、この『ブライトバーン/恐怖の拡散者』はここからまったく違った方向に向かって進んでいきます。そう、本作は“もしもスーパーマンが正義の味方ではなく邪悪な存在だったら?”を描いたものなのです。

 製作は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン。脚本と製作総指揮を彼の弟ブライアンと従兄弟のマークがつとめているというガン・ファミリー総動員の映画。監督はミュージックビデオ出身のデヴィッド・ヤロヴェスキーが抜擢されています。

 12歳になり、思春期を迎えたブランドン(ジャクソン・A・ダン)の耳に謎の囁き声が聞こえてきたのが始まり。夜中に寝室を抜け出した彼を納屋の近くで発見した母のトーリ(エリザベス・バンクス)は不安にかられます。納屋の地下には彼が乗ってきた宇宙船が隠してあったのです。やがてブランドンの奇行はエスカレート。クラスメートの女の子の部屋に突然現れ、フォークをかみ砕き、友人にケガをさせ、ついには停学処分に。さらに彼の周囲では不可思議な行方不明事件や交通事故が多発。そこには奇妙なサインのようなものが残されていました…。

 ブランドンの行動原理は子供らしい単純なもの。気になる女の子がいたから側に行きたい、邪魔をする奴は許さない、気に入らないものはぶち壊す、そして自分の存在をアピールしたい…。そんな無邪気さが逆に不気味な雰囲気を浮かび上がらせていきます。ブランドンを演じたのはオーディションで選ばれたジャクソン・A・ダン。どんどん悪に染まっていく少年の内面に渦巻く“イラ立ち”を好演しています。

 ヒーロー映画の裏返しと言える作品ですが、ジャンル的にはホラー映画に属しますので、かなりゴアでショッキングなシーンがあります。ご注意を。「自分たちの子供が邪悪な存在なのでは?」と気付いた両親が恐怖におののくあたりは、さながらホラーの名作『オーメン』のような展開。ガンほどの人がそれに考えが及んでいないはずはないので、きっと意識しているのでしょう。

(付記)

 ラストにはジェームズ・ガン作品でおなじみのスターが特別出演。また、過去のガン作品のキャラがちらりと映ります。本家のヒーロー映画に対抗してユニバース化を狙っているのでしょうか?

(『ブライトバーン/恐怖の拡散者』は11月15日から公開)

配給:Rakuten Distribution/東宝東和

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