アクションはもはやアートの領域に…キアヌ・リーヴスの『ジョン・ウィック:パラベラム』今回は犬も戦う!

 キアヌ・リーヴスというのは不思議な俳優で、『スピード』(94)でスターになった後に続編への出演を拒否。第一線から退いたかに見えたのですが、『マトリックス』(99)で復活。シリーズ終了後は再び地味な活動になりましたが、『ジョン・ウィック』(14)でまたもやアクション・スターのトップに返り咲いたのです。筆者も何度か本人に会ったことがあるのですが、将来について戦略的に考えたり、ギラギラした野心を抱いているタイプの人ではありませんから、「映画の神に愛されたスター」なのかもしれません。

 そんな『ジョン・ウィック』シリーズも3作目(4作目も絶対に作られますから、キアヌ最長のシリーズになります)。前作で、裏社会の聖域であるコンチネンタルホテルで仇敵を射殺したことで掟を破ってしまったジョン・ウィック(キアヌ)は、莫大な賞金をかけられ、世界中の殺し屋の標的になってしまいます。戦闘に次ぐ戦闘の末、旧知のロシアンコミュニティの重鎮、ディレクター(アンジェリカ・ヒューストン)に助けを求めたジョンは、モロッコ行きの船を手配。モロッコのカサブランカにあるコンチネンタルホテル・モロッコの支配人は、ジョンの旧友ソフィア(ハル・ベリー)で、彼女はかつてジョンとは“血の聖印”を結んでいたのです。ジョンは彼女の力を借りて、自分への暗殺指令を撤回させようとしますが…。

 今回から、裏社会を支配する上位組織・首席連合が登場。そこから派遣された鑑定人(エイジア・ケイト・ディロン)は、ジョンの復讐を手助けしたコンチネンタルホテル・ニューヨークの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)や地下組織の支配者バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)、ジョンの逃走を手助けしたディレクターらにも牙を向けます。

 アクションはシリーズを重ねるごとに増量し、銃撃と格闘を組み合わせた“ガン・フー”のみならず、ナイフ、バイク、乗馬など、あらゆるタイプのファイトシーンが満載。疾走するバイクや馬とともにカメラも縦横無尽に動き回り、あらかじめ振り付けられたダンスやアートのような迫力の映像が楽しめます。「ニューヨークにはどれだけ殺し屋がいるんだ?」と思ってしまうぐらい次々と出現する追手の数もものすごく、この作品の中で何人の死者が出たのか、数え直してみたくなるほど。今回の最大の敵はゼロ(マーク・ダカスコス)という殺し屋ですが、彼はジョンを尊敬していて、表の顔はニューヨークの片隅で経営している寿司屋。シノビと呼ばれる弟子たちとともにジョンに迫るというユニークなキャラです。

今回は戦闘訓練を受けた2匹の犬が大活躍
今回は戦闘訓練を受けた2匹の犬が大活躍

 ところで、このシリーズの発端はジョンが今は亡き愛妻から送られた犬を殺されたことでしたが、この第3作でも犬が重要な役割を果たします。ソフィアの2匹の愛犬は、特殊な訓練を施された戦闘犬なのです。今回は犬も戦う! ジョンとソフィア、そして犬たちが息を合わせて多数の敵と戦うシーンも見どころの一つです。

 ジョンが多数の殺し屋を次々と倒す、と言っても単なる“キアヌ無双”にしていないところが、このシリーズのいいところ。毎回毎回、ジョンはきっちり苦戦して、傷だらけになりながら難局をクリアしていくのです。このあたりが、スタント・コーディネーターとして数多くの作品を手がけてきたチャド・スタエルスキ監督の腕の見せどころかもしれません。

(『ジョン・ウィック:パラベラム』は10月4日から公開)

配給:ポニーキャニオン

(R),TM & (C)2019 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

『ジョン・ウィック』第1作のレビューはこちら

『ジョン・ウィック:チャプター2』のレビューはこちら