70年代に起きたハイジャック事件&人質救出作戦をスリリングに再現した『エンテベ空港の7日間』

 1976年6月27日、テルアビブからパリに向かったエールフランス機が、4人のテロリストにハイジャックされました。240名近い乗客を乗せたまま、機体は悪名高い独裁者アミン大統領が待つウガンダのエンテベ空港に強制着陸。乗客は空港の旧ターミナルに移され、武装犯の監視下に置かれます。犯人たちの要求は500万ドルと、世界各地に収監されているパレスチナ過激派の釈放でした。多数の自国民を人質にとられたイスラエルの首相イツハク・ラビンは、交渉の道を探りつつ苦悩を深めるばかり。イスラエルの国防大臣シモン・ペレスは、テロリストに屈してはならないと軍事的解決を提案、特殊部隊を編成しての人質救出作戦を計画します。事件発生から7日目、エンテベ空港への奇襲作戦(作戦名:サンダーボルト作戦)が幕を開けました…。

 この有名な実話は、これまでにも『エンテベの勝利』(76)や『特攻サンダーボルト作戦』『サンダーボルト救出作戦』(共に77)といった映画になっています。しかし、これらは事件発生直後に作られた(話題性重視のため)ものばかりで、全体像を把握したものではありませんでした。

 事件から43年の時を経て作られた本作『エンテベ空港の7日間』は、綿密な取材を重ね、ハイジャック犯、人質、乗務員、イスラエル政府、軍人、パレスチナ解放戦線など、すべての人々にスポットを当て、ドキュメンタリー・タッチで事件の全容に迫っていきます。

 ハイジャックの実行犯である二人のドイツ人、ウィルフリッド・ボーゼ(ダニエル・ブリュール)とブリギッテ・クールマン(ロザムンド・パイク)がフィーチャーされているのが本作の特徴。ドイツ赤軍派“バーダー・マインホフ”の残党である二人は理想主義的考えからパレスチナの大義に同調して参加しますが、厳しい現実の前に立たされることになります。パレスチナ・ゲリラが彼らに語った言葉が印象的。「ナチスがユダヤ人を迫害したから、奴らがここにやってきてイスラエルを作り、俺たちを追放したんだ」今もなお続く“憎しみの連鎖”に対するメッセージなのでしょう。

 監督はブラジル人のジョゼ・パジーリャ(リメイク版『ロボコップ』)。歴史的事実に基づいた映画であり、結果がわかっているにもかかわらず、全編には強烈な緊張感が張り詰め、サスペンスが最後まで持続します。冒頭いきなりコンテンポラリー・ダンスの場面から始まって驚かされますが、このダンスが映画のテーマを浮かび上がらせ、リズムがドラマを盛り上げていくあたりは、見事な演出です。

(『エンテベ空港の7日間』は10月4日から公開)

配給:キノフィルムズ/木下グループ

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