田舎町に出現したゾンビを使って珍商売を開始した家族だが…。韓国発のゾンビ・コメディ『感染家族』

キム・ナムギル扮する次男のミンゴル

 韓国発のゾンビ・コメディ。全力疾走するゾンビが大量発生した『新感染 ファイナル・エクスプレス』とは対照的に、この『感染家族』の舞台はのどかな田舎町。ゾンビもゆらゆらと歩くだけです。

 平和な片田舎のさびれたガソリンスタンド。長男のジュンゴル(チョン・ジェヨン)は通りがかった旅人の車をパンクさせ、修理代をぼったくるというやり方で生計を立てていました。稼いだ金の管理は身重の妻ナムジュ(オム・ジウォン)の役目。ある製薬会社の違法実験のニュースが流れる中、次男のミンゴル(キム・ナムギル)がその製薬会社をクビになって帰郷してきます。時を同じくして、この田舎町に一体のゾンビ(チョン・ガラム)が迷い込んできました。彼に頭を噛まれたのが、一家の父親であるマンドク(パク・イナン)。しかしマンドクは死ぬこともゾンビ化することもなく、逆に若返ってしまったのです。

 そのことを知った一家はゾンビを使った「若返りビジネス」を発案。ゾンビにチョンビという名前を付け、末の妹ヘゴル(イ・スギョン)がその世話係に。若返ったマンドクの姿に驚いた町の人々は、我も我もとチョンビに噛まれに殺到してきます。商売は大繁盛。しかし、そこには危険な副作用が潜んでいたのでした…。

一体のゾンビがのどかな田舎町に出現
一体のゾンビがのどかな田舎町に出現

 冒頭はのどかなコメディで、おかしな家族の姿をユーモラスに描きます。優柔不断で妻の顔色ばかりうかがっている長男、金もうけのことしか考えず、隙あらばチョンビをソウルに連れ出して研究施設に売り払おうとしている次男、不愛想だがチョンビには心を開く妹など、それぞれのキャラが立っていて、とぼけた笑いを誘うのです。二枚目俳優キム・ナムギルが、口先ばかりの軽薄な男を軽妙に演じています。

 しかし、後半はゾンビ・パニック・サバイバル映画へと姿を変え、緊迫のシーンが連続。このコントラストが楽しい映画でもあります。ゾンビのメイクはかなりリアルで、エキストラも含め約80人が参加したゾンビ軍団は迫力たっぷり。この部分はちゃんとホラー映画になっているのです。

後半はゾンビ映画としてもかなりの迫力
後半はゾンビ映画としてもかなりの迫力

 監督・脚本のイ・ミンジェは、過去のゾンビ映画の定石を踏まえつつ、「夜空と花火とゾンビ」や「DJグルーヴ・パーティとゾンビ」、「ラブソングのミュージック・ビデオ風シーン」など、一風変わった印象的な絵柄を入れ込む斬新な演出を見せてくれます。最初はただのゾンビだったチョンビがお話の進展につれてどんどんヒーロー化していき、ラストには希望を感じる終わり方を用意するなど爽快な展開もあり。笑いとスリルを交えつつ、家族の絆に落とし込んだ作品で、ゾンビ映画ファンには見逃せない一本と言えるでしょう。

(『感染家族』は8月16日から公開)

配給:ファインフィルムズ

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