藤原竜也&蜷川実花の『Diner ダイナー』殺し屋専用の食堂で殺し合いゲームが開幕!

 過激にして過剰、奇妙で奔放、破天荒で豪快。平山夢明の原作を蜷川実花監督が映画化した『Diner ダイナー』は、そんな形容詞を並べたくなるようなド派手でカラフルな作品です。設定もまた超個性的。なにしろ、おもな舞台となるのが「殺し屋専用の食堂」で、登場人物もほとんどが殺し屋かギャングなのですから。

 元殺し屋の天才シェフ・ボンベロ(藤原竜也)が切り盛りする食堂。ここでは彼が神のごとく君臨し、凶悪な殺し屋たちも勝手な行動をすることが許されない一種の聖域になっていました。この街は、かつてのボス、デルモニコの急死後、東西南北4人のトップが分割して仕切っていて、跡目を継ぐ者はもうすぐやって来る一周忌の日に決められることに。東のトップは虫をこよなく愛する美しく頭脳明晰なマテバ(小栗旬)、西はキレやすい凶暴なマリア(土屋アンナ)、北は男装の麗人たちを従えた無礼図(真矢ミキ)、南は組織のナンバー2だったコフィ(奥田瑛二)。そこに全身傷だらけのスキン(窪田正孝)、一見子供だが実は邪悪なキッド(本郷奏多)、ラテン系の子分を引き連れたブロ(武田真治)らの殺し屋が絡み、普通人のウェイトレス、オオバカナコ(玉城ティナ)が店に売られてきたことによって、微妙なバランスが崩れ、対立はやがて血の抗争へと転じていきます。

 主演級の豪華キャストが並んだ上に、序盤だけの登場とはいえ、斎藤工、佐藤江梨子、金子ノブアキも(さらに特別出演のゲストたちも)出演。これらの強烈なキャラは全編にわたってデフォルメされた個性をふりまいていきます。とてつもなく“濃い”作品で、鬼才・横尾忠則による店内の美術、原色を活かした照明と相まって、現実離れした物語を彩っていくのです。さながら「タランティーノとジョン・ウーが組んで『マトリックス』を撮った」ような世界観。いつもなら舞台仕込みの熱演が周囲から浮いたような印象を受ける藤原竜也の演技が、まったく普通に見えてしまうほどなのです。

 蜷川監督としては初の男性主人公映画(次回作も小栗旬が太宰治を演じる『人間失格 太宰治と3人の女たち』)で、初のアクション・バイオレンスなのですが、実は「自分に自信が持てなかった女の子が生きる道を見出す」というテーマの作品でもあるので、血まみれな描写が多いにもかかわらず鑑賞後の余韻は意外にさわやか。常識の通用しない連中による、先の読めないスリリングな殺し合いゲームを楽しむ作品です。

(『Diner ダイナー』は7月5日から公開)

配給:ワーナー・ブラザース映画

(c)2019 「Diner ダイナー」製作委員会