これが最後のX-MEN。『X-MEN:ダーク・フェニックス』19年に及んだシリーズ最終章を見届けろ!

 2000年に始まった『X-MEN』シリーズの完結編。この後、製作会社の20世紀フォックスはディズニー傘下となりますので、現行のメンバーによるシリーズはこれで最後になります。

 原作となっているのは、コミック版でも人気の高かったエピソード「ダーク・フェニックス・サーガ」。宇宙での救出ミッション中の事故で謎の熱放射を浴びてしまったジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)の中に、彼女のもうひとつの人格である「ダーク・フェニックス」が覚醒。力の制御ができなくなった彼女の超能力は暴走し、各地に多大な被害を及ぼしてしまいます。最強の仲間が最悪の敵となった時、X-MENたちが選んだ行動とは?

 このプロット、実はシリーズ3作目の『X-MEN:ファイナル ディシジョン』に一部が使われています。そちらでもファムケ・ヤンセンが演じたジーンの超能力が暴走していたのです。脚本を書いたのは、同じサイモン・キンバーグ(『ダーク・フェニックス』で初監督に挑戦)。実は『ファイナル~』の際には彼の書いたプロットに、ミュータント治療薬、ウルヴァリンとジーンの悲恋、マグニートー一派との決着などさまざまな要素が無理やり付け加えられ、結果、混乱した展開になってしまいました。キンバーグにとっては「ダーク・フェニックス・サーガ」を語り直すことは長年の宿願だったのです。

 今回の特徴は、X-MENのメンバーの心情と対立構造がはっきりと描かれている点です。まずプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)。彼の願いはミュータントが差別の対象ではない世界を作ることで、したがってX-MENがヒーロー視され、大統領との間にホットラインも繋がっている現状は何としても守らねばならないもの。そのためには不都合な真実を隠蔽することもやむを得ないと考え、そのことが取り返しのつかない事態を招いてしまうのです。

 マグニートー(マイケル・ファスベンダー)はもはや人と争うことを捨て、ミュータントの仲間と自給自足の生活を送っています。しかしそこにジーンが現れて平穏を乱しただけでなく、彼女が彼の大切なものを奪ったことを知り、ジーンの抹殺を決意します。

 プロフェッサーXの弟子であり友人でもあるビースト(ニコラス・ホルト)は初めて師のやり方に疑問を抱きます。彼は愛する人を連れてプロフェッサーXのもとを離れようとしますが、一足遅く悲劇に遭遇。マグニートーの協力者としてジーンのもとに向かうのです。

 渦中のジーンもまた、自分の力を抑えきれず苦悩します。自分を受け入れてくれる場所がどこにもないことを悟った彼女は、宇宙から来たらしい謎の女(ジェシカ・チャステイン)の誘いにのってしまいます。

 それぞれの心の揺れが痛いほど伝わってくるのは、いかにも脚本家が監督した映画らしいところ。何の犠牲も出さないですべて丸く収まる結論が出るはずもなく、自然と重苦しいトーンが全体を包んでいきますが、派手なアクションシーンの数々が見せ場を作ってエンターテインメント作品として盛り上げてくれます。CGを駆使した場面もありますが、ニューヨーク五番街のシーンでは街並みを再現したセットを作り、マグニートーが地下から引き上げる地下鉄車両も本物を使いました。ファンタジーの中にリアルを投入することによって、全体の質感を高めているのです。

 プロフェッサーXとマグニートーからチャールズとエリックに戻った旧友同士である二人がチェスをする、シリーズおなじみのシーンも用意してファンをにやりとさせる演出も。19年の長きにわたってファンを楽しませてくれたシリーズに感謝し、そのクライマックスを見届けたいものです。

(『X-MEN:ダーク・フェニックス』は6月21日から公開)

配給:20世紀フォックス映画

(c)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation