人を殺してはいけない殺し屋は、普通の生活を守れるか? 人気コミックに岡田准一が挑む『ザ・ファブル』

 岡田准一が大阪府出身の関西人だったということを再認識させてくれる映画。二枚目が真面目な顔をしておかしなことをすると、たまらなく笑えるのです。しかし、コミカルな笑いを散りばめていますが、本質はサスペンス・アクション。

 たった6秒で相手を殺す。裏社会ではその存在の真偽すら疑われる伝説の男で、“ファブル(寓話)”とまで呼ばれる謎の殺し屋(岡田准一)。殺人以外のことを何も知らない彼に、ボス(佐藤浩市)はある指令を与えます。「一年間、一般人として普通に暮らせ。もし休業中に誰かを殺したら、俺がお前を殺す」

 自分を育ててくれたボスには絶対服従の彼は、佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹という設定で大阪の街で暮らし始めます。なんとか一般人の生活に溶け込もうと、ペットを飼ったりバイトをしたりと努力するアキラ。しかし、ボスのツテで彼をかくまってくれている真黒カンパニーの社長・海老原(安田顕)の弟分で出所したての小島(柳楽優弥)と組織の現幹部・砂川(向井理)の確執に巻き込まれてしまい、さらにファブルを殺して名を上げようと考える若い殺し屋コンビ、フード(福士蒼汰)とコード(木村了)からはつけ狙われることに…。

 殺しを禁じられた殺し屋が、“普通の”日常を守ろうと奮闘する話。南勝久の人気コミックを、CM出身で『ガチ星』の江口カン監督が映画化。笑いとアクションを巧みに配分したエンターテインメントに仕上げています。

 岡田准一のボーっとした表情と切れ味鋭いアクションのギャップに感嘆。チンピラにわざと殴られてやられるふりをしてみたり、家の中では全裸で過ごしたり、ベタなお笑いのギャグに受けまくっていたりと、普段のカッコいい彼からは想像もつかないような姿を見せてくれるのですから。加えて、もともと身体能力には定評のある岡田は今作では『96時間』シリーズに参加したフランスのアクション監督や日本人スタント・コーディネーターと共に、自身もアクション場面の振り付けに参加。バリエーション豊かなアクションとスピーディーな動きが堪能できます。いかにも“イマドキな”若者で、殺しに罪悪感を持たない(ファブルを殺すことをゲームのレアキャラをゲットすることぐらいにしか思っていない)フードに扮した福士と、岡田が繰り広げるクライマックスの激闘は見どころ。

 共演陣では、柳楽と向井が共にド外道なヤクザを怪演。その憎々し気なたたずまいは今までのイメージを完全に覆すものです。対照的な二人の女性=アキラの相棒のヨウコに扮した木村と、アキラの同僚で事件に巻き込まれて拉致される普通人のミサキを演じた山本美月も好演。そしてファブルのボスを演じた佐藤浩市は圧倒的な存在感を見せてくれます。お笑い部分は佐藤二朗、宮川大輔、藤森慎吾らの担当です。主題歌はレディ・ガガのヒット曲「ボーン・ディス・ウェイ」。

(『ザ・ファブル』は6月21日から公開)

配給:松竹

(c)2019「ザ・ファブル」製作委員会