どんな望みも「彼」に願えば叶うという。しかしその代償とは…?『ザ・プレイス 運命の交差点』

「望みは何でも叶えてやろう。だが、それには条件がある…」小説や映画で何度も見かけるシチュエーションです。『ニードフル・シングス』や『運命のボタン』といった映画では、それは悪魔のささやき。願った者には大抵の場合、思いもよらぬ悲劇が訪れたのですが、さて、この映画『ザ・プレイス 運命の交差点』では…?

 タイトルの『ザ・プレイス』とはローマの街角にあるカフェの名前。そこの奥まったテーブルには中年の男(ヴァレリオ・マスタンドレア)が一日中座っています。男の名前は誰も知りません。しかし、彼の前には入れ替わり立ち替わり相談者がやって来るのです。相談者たちはそれぞれの願いや欲望を男に打ち明け、男は彼らに対して課題を突き付けます。それを実行すれば願いが叶うのだと。ただしそれは強制ではなく、あくまでも相談者の自主的な判断に委ねられています。

 放蕩息子を立ち直らせたい刑事、アルツハイマーの夫を治したい老婦人、視力を取り戻したい盲目の男、ガンに侵された幼い息子を救いたい父親、神の存在を再び感じたい修道女、ピンナップガールと関係を持ちたい男など相談者は9人。男から与えられる課題は、「人の多く集まる場所に爆弾を仕掛けろ」「幼い少女を殺せ」「強盗しろ」「別のカップルを破局させろ」などとんでもないものばかり。すべての願望には他者の運命という代償が必要なのです。そして相談者たちの運命もまた、いつの間にか絡み合っていきます。果たして彼らを待つものとは?

 監督は『おとなの事情』でも見事な手腕を見せたパオロ・ジェノヴェーゼ。カメラは「ザ・プレイス」の店内を出ることなく、まるで舞台劇のような緊張感の中で展開します。カフェの外で起こる(起こった)出来事はすべてセリフで語られるのみなのです。ワンシチュエーションの会話劇なのですが、それぞれの事情を抱えた相談者たちを演じる俳優の熱演と、展開の読めないストーリーから目が離せません。アメリカのTVシリーズ『The Booth 欲望を喰う男』をイタリアを舞台に変えてリメイクしたものですが、一話完結の30分ドラマだったものを、一本の長編映画にうまく再構成しています。一見、まったく無関係に見えた相談者たちが店の外でどう繋がっていくのか…。かなり緻密に練られた脚本にうならされます。

 なぜ男はいつもカフェにいるのか? 男がノートに書いているものは何か? 相談者以外ではカフェの店員アンジェラ(サブリーナ・フェリッリ)しか男に話しかけないのはなぜか? そもそも男は何者で、どうやって願いを叶えているのか? 観終わった後、観客がそれぞれの解釈について語り合いたくなる映画なのです。

(『ザ・プレイス 運命の交差点』は4月5日から公開)

配給:ミモザフィルムズ

(c) 2017 Medusa Film SpA .

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