永野芽郁&北村匠海の『君は月夜に光り輝く』死を待つだけの彼女に、僕は何ができるのだろうか…?

 原因も治療法も不明という不治の病“発光病”。細胞異常により皮膚が発光し、その光は死が近づくにつれて強くなる。若者がかかる病で、一度発病すると、成人するまで生存した者はいない…。

 こんな設定のもと、生と死を見つめる若い男女を描いた佐野徹夜の小説(第23回電撃小説大賞受賞作)『君は月夜に光り輝く』を、永野芽郁と北村匠海の顔合わせで映画化した作品です。不治の病に苦しむヒロイン、男性側主人公が北村匠海、監督が月川翔、略称が『キミツキ』と、明らかに『君の膵臓をたべたい』(略称『キミスイ』)と共通項が多いのですが、自ら脚色も手掛けた月川監督は、あえて違うアプローチを試みています。

卓也(北村匠海)が寄せ書きを届けに行かされたことから物語は始まる
卓也(北村匠海)が寄せ書きを届けに行かされたことから物語は始まる

 高校生の岡田卓也(北村)は入院中の同級生にクラスの寄せ書きを届けるという役目を押し付けられ、病室で渡良瀬まみず(永野)と出会います。彼女は発光病を患っていて、すでに宣告された余命を過ぎているというのです。そんな状況にあっても明るく振舞うまみず。卓也はなかば強引に、病院を出ることができない彼女のために“代行体験”を行なうことを約束させられます。それは彼女の叶えられない願いを代わりに実行し、その感想を伝えるというものでした。やがて代行体験を重ねるごとに、卓也はまみずに惹かれていき、彼女もまた卓也のおかげで諦めていた生きることの喜びを感じていくのです。しかし、楽しい時間を知れば知るほど、死への恐怖もまた大きくなるのでした…。

病院から出られない状況ながら明るさを失わないまみず(永野芽郁)
病院から出られない状況ながら明るさを失わないまみず(永野芽郁)

『キミスイ』のヒロインは重い膵臓病を抱えていながらも、元気に動き回っていて旅行することなどもできました。しかし、今作のまみずは病院を出ることができない状況のため、衣装はほぼパジャマでベッドの上にいるだけ(幻想・夢のシーンを除く)。したがって永野は表情に特化した演技が求められるわけで、明るく天真爛漫な姿と死の恐怖にふるえる姿を共存させる、繊細な演技を見せてくれます。一方、月川監督とは『キミスイ』でも組んで信頼関係で結ばれた北村は、真摯な表情でまみずの抱える問題に直面しようとする卓也を熱演。この映画は愛する人のため限られた時間の中で何ができるのかに苦悩する「男の純情」の物語でもあるのです。最初は嫌々だったのに、まみずの喜ぶ顔が見たいがために次第に代行体験にのめりこんでいき、時には暴走してしまう卓也の姿をギャグも交えて描くことで、暗い雰囲気を払拭する効果も。

まみずを勇気付けたいと願う卓也だったが…
まみずを勇気付けたいと願う卓也だったが…

 ヒロインを襲った唐突な運命ゆえに、『キミスイ』では難病ものというよりもむしろ、「一日の価値はすべての人に等価である」という「生の大切さ」に重点が置かれていました。本作では「避けられない死」を誰もがしっかりと見つめ、その中でできることを探そうとする「一瞬の輝き」に焦点が当てられているように思われます。彼女の願いを叶えるために精一杯の行動をしようとする人々。そして、中でも大切な存在になった卓也に対して、まみずが託した最後の代行体験の中身とは…? スノードームや彼女の手書きのノートなど、細かなアイテムにまで気配りがなされ、ラストには涙を誘う青春純愛映画になっています。

 共演は、まみずを気遣う担当看護師に優香、まみずの訳ありの両親に及川光博と生田智子、卓也の母親に長谷川京子、回想シーンに登場する卓也の姉に松本穂香、卓也の同級生に甲斐翔真、卓也のバイト仲間に今田美桜という顔ぶれ。主題歌はSEKAI NO OWARIが担当しています。

(『君は月夜に光り輝く』は3月15日から公開)

配給:東宝

(C)2019「君は月夜に光り輝く」製作委員会

『キミスイ』こと『君の膵臓をたべたい』のレビューはこちら